兄・右典さんとの絆。誰よりも近い存在だからこそ、似てると思われたくない
主演を演じる『破天荒フェニックス』は、幾多(あまた)のピンチを乗り越えていく作品だが、伊﨑さん自身のピンチの乗り越え方を聞いてみた。
「ピンチになったら、仲間や家族に相談すると思います。僕は双子で兄の右典(ゆうすけ)という相方がいて。右典は兄弟というより、血のつながった親友みたいな感覚のほうが近いですね。同い年やし、経てきた人生もほぼ一緒。だから信頼感は誰よりもあります。変な話、たとえ僕が疑われるようなことがあっても、あいつは信じてくれるっていう。これからお互いにいろんな人生を歩んでいくと思うけど、絶対にお互い切り捨てることはないだろうって思える相手です。
最終的な勝負は、どっちが長生きできるかってことですね(笑)。僕より相方のほうは生きることへの執着がすごいんですよ。健康診断もちゃんと行きますし、めっちゃ気にしてる。僕は相方がOKやったら俺もOKやろ、みたいな(笑)」
右典さんのことを誰より近い存在だと話す伊﨑さんだが、ふと、意識する瞬間もあるそう。
「右典には(台本の)本読みを手伝ってもらったりすることもありますね。でも、右典と同じ感性でいたらキャラが被(かぶ)ってしまうんちゃうかなとも思うんです。生まれたときからずっと、右典の別角度を探している気がします。双子の仕事、双子の役やったらいいんですけど、別々の現場ってなったら、似てると思われたくない。双子って、いいところも、悪いところもあるんですよね」
こうなりたい、という目標は持たないという伊﨑さんは「仲のいい先輩や後輩、仲間たちとわちゃわちゃ楽しくしゃべりながら人生を終わらせたい」と話す。
「 “役者やってます”って言えるようになったのは最近です。昔は歌ったり踊ったりもしていたし、いろんな仕事をしていたので、自分で役者だという自信がなかったんです。でもそろそろ先輩たちから“いつまでも新人っぽさ出すな!”と言われ始めて(笑)。
もう、役者としては15年くらいたちましたね。胸張って“役者やらせてもらってます”って言えるように、もっと自信を持てるように、まだまだ頑張りたいと思います」
再演では、お笑い芸人の河本準一さん(次長課長)や、西尾季隆さん(X-GUN)など、新キャストも追加。「コメディパートが好きだから、楽しそうにやってるのを見ると混ざりたくなっちゃって……」と笑う伊﨑さんに、改めて座長(主役)としての意気込みを。
「今回の舞台は再演とはいえ、リニューアル再演。もはやシーズン2に近いです。半分以上が前回とは違う内容になっているので、今回が初めての方はもちろん、前回の公演を見てくださった方も楽しめる内容になっていると思います。初演から半年しかたっていないので、前回のセリフや動きがまだ残っていたり、頭の中がパニック状態になることもありますが、バージョンアップしていることは間違いないです! ぜひ劇場へ足を運んでいただけたらうれしいですね」
(取材・文/高橋もも子)
【PROFILE】
伊﨑央登(いざき・ひさと) ◎1984年5月生まれ、大阪府出身。2000年、第13回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞を受賞し、翌年、グランプリの伊﨑右典らと4人でFLAMEを結成しデビュー。'04年に映画『デビルマン』で演技未経験ながら主演に抜擢され、『クローズZERO』('07年公開)『クローズZERO II』('09年公開)では極悪ツインズ2号・三上豪を演じる。'22年6月の『舞台・破天荒フェニックス~いつだって始まっている~』および、同年12月より再演される『舞台・破天荒フェニックス』において主演を務める。
劇団TEAM-ODAC 第40回本公演「舞台・破天荒フェニックス」
原作 : 田中修治「破天荒フェニックス オンデーズ再生物語」(幻冬舎)
脚本・演出 : 笠原哲平(TEAM-ODAC)
主演 : 伊﨑央登
◎公演日程
2022年12月7日(水)〜12月11日(日)
※公演詳細やチケット情報は公式サイトへ→https://teamodac.net/news/?p=4366