その街はゴムホース天国だった
取材当日、江戸川区・墨田区・江東区の境界を流れる旧中川に近いJR平井駅で待ち合わせるも、筆者には一抹(いちまつ)の不安が。
そもそもゴムホースって簡単に見つかるものなのか? まったくないってことはないだろうけど、“見映えのいい”ゴムホースなんてあるのだろうか? もし1本も見つからなかったら企画倒れになるのでは……と、いつの間にかゴムホースをツチノコや河童のようなUMA(未確認生物)と同じに考えるように。取材オファーした際、《ゴムホースならさまざまなところにあるのでご安心ください》と断言していた中島さんの言葉を信じ、いざ出発。
歩きはじめてわずか3分足らずで、その不安は取り越し苦労だとわかりました。
駅近くの工事現場で目ざとく水色のゴムホースを見つけた中島さんは、「可愛い」とすかさずスマホで撮影。気づかずに素通りしてしまうところでしたが、「工事現場には必ずあるんです」と言うとおり、それは存在していました。
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写真家の活動を始めて9年目になる中島さん。
「街にある“なにげないモノ”には、必ず持っている人やそこに存在する理由がある。“どうしてこれがここにあるんだろう”と、いろいろ想像するのが楽しい」と、目についた街にあるモノの写真を撮るように。中でもゴムホースに強く惹かれるようになったのは、美術大学での写真の授業がきっかけといいます。
「カメラを持って大学構内をウロウロしていたときに、たまたま見つけたゴムホースを写真に撮ったら、芝生の緑色とゴムホースの青色が素敵に入り乱れていた。こういった“なにげないモノ”でも、美しい画にできるんだって気づいたんです」
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それにしても、思った以上に街にはゴムホースがあふれていました。歩きながら話を聞きつつ、ゴムホースを見つけてはどんどん写真に収めていきます。
「撮影するいちばんの理由は、ゴムホースの素材が持つ“コシ”が描く線の美しさが好きだからです」
見つけるのにも法則があり、工事現場以外にも水を使用する器具やモノの近くによくあるとか。
「ゴムホースは洗濯機やエアコンの室外機、植木鉢とかと相性がいい。1回でも“型”を覚えると、あっちから視界に入ってきます」
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