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生き方

山中にひっそり佇む『少女まんが館』とは? 無一文になっても諦めない、少女まんがに人生をかけた夫婦の覚悟

SNSでの感想
あきる野市の山中で入館料無料の「少女まんが館」を開く中野純さんと大井夏代さん夫婦
目次
  • きっかけは少女まんが好きの集い。仲間と意気投合し、ノリで始める
  • 都心から日の出町まで通う日々。ついに移住して住みびらき図書館へ
  • 事件発生! 「女ま館」が立ち退きを迫られる
  • 借金する覚悟で、土地を買い新たな建物を建てて再出発

 ある時はトキメキ、ある時は癒やしを抱かせる。いつの時代になっても女性たちを楽しませる少女まんが。その始まりは、明治時代にまでさかのぼるほどに歴史は深いそうで、当時の貴重な資料も多く残されている。

 そんな貴重な蔵書から2000年発行のものまで、6万冊以上そろった私設の少女まんが図書館がある。聞いてびっくり、その場所は東京・あきる野市の山中にあるのだとか。

 残暑が著しい真夏の某日。その正体を突き止めるべく、取材班は都心から1時間以上かけて向かうことに。到着したのはJR五日市線の武蔵増戸駅。駅を出ると遮るもののないワイドビューが広がる。最高。

 ホームページに掲載された道案内に従いながら、山中を目がけてただひたすら歩く。

秋川とキャンプ場を横目に進む
通行止めにより迂回することに。たどり着くか不安な中、山道を歩く

 秋川とキャンプ場を背に鬱蒼(うっそう)とする山道へ入っていくも、突如、豪雨による通行止めで行く道を阻まれ、迷子に。日中だというのに薄暗くヒヤリとした空気に心細くなる。迂回に迂回を重ねてようやく辿り着いた頃、駅を出発してすでに40分経過していたのだった。

山中の住宅地の中に突如現れる「少女まんが館」

 木々に包まれた真っ青な建物、そこが今日のお目当て「少女まんが館」、通称「女ま館」。いや本当に、ただただ目立つ! 一見すると、何の建物なんだろう……とちょっと近寄りがたさもあったり。

 恐る恐る中へ入っていくと、出迎えてくれたのは……。「女ま館」を運営する、作家の中野純さんと大井夏代さん夫婦。おふたりに、その実態と開設までの歴史について尋ねた。

きっかけは少女まんが好きの集い。仲間と意気投合し、ノリで始める

 もともと少女まんがが大好きだった中野さんと大井さん。時は1995年、当時はまだインターネットが普及しておらず、パソコン通信でできた仲間と交流を続ける日々だったという。

 パソコン通信仲間と夜な夜なおしゃべりにいそしむ大井さんは、ある日「実は少女まんがが好きなんです」と打ち明けた。すると、呼応するかのように「私も」「俺も」と次々、同じような思いをもつ仲間が集まりはじめ、気づけば日夜、まんが話に盛り上がる会が繰り広げられたそう。

「毎日のように盛り上がり続けるんですけど、話している最中に、どうしても思い出せない作品のタイトルや作家名、登場人物の名前とかが出てくるんですよ。“なんだったっけな〜、ほら、アレだよアレ……”みたいな感じで、そのことが気持ち悪くて。こういう“なんだっけな〜”がすぐわかる、“少女まんが大事典”があればいいのになあ、と仲間内で盛り上がったんですよ。それがきっかけです」と笑って話す中野さん。

 そのうち、「大事典を作るには、全国にある新旧の少女まんがを一か所に集めないとね」「それに、寝っ転がって気軽に読める“少女まんがの家”みたいな場所が欲しいよね」と、拍車がかかっていく。ひとしきり燃え上がったところで、最終的に一般公開する場所として「少女まんが館」構想が生まれた。

 そうこうするうちに、仲間のひとりから「空き家になっている実家が東京の日の出町にあるから、ここをまんが図書館にすればいい」と話を持ちかけられる。その提案に乗り、1997年3月、“少女まんが世界の永久保存”を目指し、8人の仲間とともに「女ま館」の共同運営を始めたのだった。

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