かつては「公」より「私」を優先、との批判も

 振り返れば、上皇陛下も皇太子時代に子育てをなさっているときには「マイホームパパ」とメディアで批判されたことがあった。さらに今上陛下の場合は、皇太子(当時)としての責務まで問われるようにもなった。

 天皇や皇族に「私(わたくし)」はなく、国民のために「私」よりも「公(おおやけ)」を優先するというモラルに反しているのではないかというものだったが、当時、天皇陛下は44歳の誕生日会見(2004年)の中で、記者からこのことを問われると、

「時代というものも変わってきていますし、“公”というもののとらえ方、そして“私”というもののとらえ方というものは、その時代時代で変わってきているわけですけれども、いずれにしても国民の幸福をいちばんに誰よりも先に、自分たちのことよりも先に願って、国民の幸福を祈りながら仕事をするという、これが皇族のいちばん大切なことではないかというふうに思っています」

 と説明された。この言葉を聞いた当時の宮内庁幹部たちは、上皇ご夫妻を否定しているようにも捉えられかねないと嘆いていたことを思い出す。

「国民を思う“公”と“私”を大切にするということは別のものだという概念が強かったのでしょう。雅子さまは愛子さまが内親王だったことから、すぐに第2子の親王誕生を求められましたが、世継ぎが喫緊の問題だとしても宮内庁の追い立てるような物言いはよくなかった。

 雅子さまはたとえ内親王であっても、ひとつの尊い命として、愛子さまを愛しみながらご自分ができる精いっぱいのこととして陛下と子育てに向き合われてきたのだと思います」(宮内庁関係者)

2019(平成31)年のお正月を迎える天皇ご一家、秋篠宮ご一家、上皇ご夫妻 写真/宮内庁