海外のVIPをコロナ禍の新しいスタイルでおもてなし

 全国豊かな海づくり大会に出席のため、今年最後の地方訪問先の神戸市から戻った雅子さまには、少しお疲れのご様子も見られたというが、11月16日にはポルトガル議会の議長夫妻と面談。コロナ禍では1人用のイスに距離を取って懇談していたが、感染が多少は落ち着いたことやマスクによる隔たりを補うために、両陛下のご提案で初めて円卓を囲まれて会話をなさった。

 新しい懇談のスタイルはモンゴルのフレルスフ大統領夫妻との面会(11月30日)でも見られた。今年、日本とモンゴルは樹立50年の外交関係を迎えた。

2022(令和4)年11月30日、モンゴルの伝統的な弦楽器「馬頭琴」の演奏会をフレルスフ大統領夫妻とご鑑賞 撮影/JMPA

 雅子さまはこの日、東京・調布市の小学校を訪れた大統領夫人に日本の教育や子どもたちと一緒に食べたという給食について質問をするなどして楽しい会話が続いたそうだ

 新しい懇談スタイルも功を奏したのかもしれない。天皇陛下は皇太子時代(2007年)にモンゴルの馬頭琴交響楽団でビオラを演奏したことを懐かしんでいたという。

 両陛下は国内はもとより外国要人たちと多くの語らいを大切になさっている。エリザベス女王の葬儀の後の会場でも、最後まで残って各国の王族や関係者らと会話をなさっていたのが印象的だった。

 12月には来日したベルギーのアストリッド王女とも私的に懇談されたという。その席には愛子さまもお姿を見せたそうだ。

 天皇陛下は雅子さまのこれまでの皇室人生を常に見守り、導いてこられた。雅子さまの29年間を振り返ることで、陛下の揺るぎない姿勢もまた見えてくる。

 来年は地方訪問の4大行幸啓のすべてのご出席とチャールズ3世の戴冠式、雅子さまのご体調がよければ国交樹立480周年を迎えるポルトガルを訪問なさるかもしれない

 雅子さまがお生まれになった干支(えと)の卯年でもあることから、さらなる“飛躍”が見られる年になるだろう。

(取材・文/友納尚子)