氣志團の存在は、若手にとってはロートル!?

──氣志團は、『氣志團万博』もそうですがアイドルから演歌までありとあらゆるジャンルの方たちと対バンされていますよね。

「そういえばこないだ、マキシマム ザ ホルモンと氣志團がデビュー前から対バンしていることを初めて知った業界の方に、“そんな2組が一緒にやっていたんですか!? ”って驚かれたんだよね。僕的にはエルレガーデンとブラフマンぐらいの関係性のつもりだったんだけど(笑)」

──驚きで言うと、若手バンドのキュウソネコカミと対バンしたときは、つぶしにかかっていませんでしたか?(注:キュウソネコカミとの対バンの際、氣志團は普段のヤンキーファッションを脱ぎ捨て、キュウソネコカミの服装で出演)

いやいやいや、そんな力はないです(笑)。ただ、洗礼ですよね。いいバンドにはやりますよね。ももクロ(ももいろクローバーZ)のときも、ゴールデンボンバーもそうでしたが、傑出した才能に満ちあふれた若者たちの前に立ち塞がる、これまでのセオリーが通じないイカれた相手ではありたい。僕らもグループ魂とかニューロティカという先輩バンドから、ガツンと鼻を叩き折ってもらった経験があるからね」

──先輩バンドから受けた洗礼を、氣志團も与えているのですね。

氣志團は、格闘漫画の4戦目ぐらいに出てくる、一筋縄ではいかないロートル選手なんですよ。鳴り物入りでデビューした主人公に対して、かませ犬のように登場する。主人公が繰り出すすごい一発が当たれば余裕でノックアウトできるはずなのに、今回の試合はどうやら違う。ロートルはのらりくらりといろんな技を使って主人公を苦しめる。老獪(ろうかい)なテクニックで翻弄したかと思えば、リングサイドにお腹をすかせた自分の子がいる様子も見せたり……。“パパを殴らないで!”みたいな(笑)。でも主人公はその1戦で一気に伸びるんですよ。強いやつを撃破するのは才能でいけるけれど、そうはいかないのがプロの世界。アマチュアはテクニックだけでなんとかなるけれど、プロはそうじゃないんだよっていう。って、何目線だ(笑)!

──相手が強ければ強いほど、本気でぶつかりにいくんですね。

「『PRIDE』に出場していたころの五味隆典選手的なね。世界の強豪相手に破竹の10連勝で世間の度肝を抜くような天才が時に現れる。“誰がこの人を止められるんだろう?”みたいな。そういうのはあのころのキュウソやももクロにビンビン感じました。“こいつら、超つえーな”って。バンドであろうが、アイドルだろうが、関係ない。みんな九死に一生を潜り抜けてきた百戦錬磨の猛者たち。だからそこでわれわれに何ができるだろうか? って考えるんです。対バン相手にはルール無用でやりますね。だけれど、死闘を繰り広げた相手とはずっと仲もいいんです