囲碁は計算力のほか、直観力が向上。教育で大事なのは「子どもを信用すること」

──ちなみに、辰巳さんにはお子さんが2人いますが、子どもにさせておくべき習慣などはありますか?

「今年、NHKの囲碁の正月特番に出演したんですが、そこで改めて、囲碁ってすばらしい競技だなと実感しました。絶対に子どもにもやらせたほうがいいと思いますね。礼儀が身につくし、世界観が広がり、計算力も磨かれる。何よりも、直観力が育つんです。基本的には陣取りゲームで、ただ交互に打っていくだけなのに、あれだけ深いゲームはないですよ」

──自分には子どもがいるので、さっそくやらせたくなりました。ちなみに、藤井聡太棋士の影響で将棋も話題となっていますが、将棋は教育にはどうでしょうか?

「将棋もいいと思いますよ。ただ、将棋は分析や論理を司る左脳寄りのゲームで、囲碁は直感的・感覚的な右脳をよく使うゲームなんだそうです。女性が強いのも、その辺りに原因があるのかもしれません。それと、将棋やチェスは相手の駒を取り合いますが、囲碁は陣取りゲームなんです。相手の大将の首をとれば勝つゲームと、陣地が少しでも広いほうが勝つゲームの違いですね。 “この陣地をあげるから、こちらをください”と対話をする。イメージを広げ、判断力を駆使して、領土を広げていく。戦国武将や歴代の政治家たちの中にも、囲碁好きは多かったようです。昨今は囲碁を打つ政治家が減ってきました。それが日本の衰退につながっているんじゃないかって言われています」

──では最後に、親は子どもの教育にどこまで熱心になればよいと思いますか?

「教育に関しては、ほとんど家にいなかったので偉そうなことは語れません。子どもからの質問に答えられるように自分を磨いておくことは、必要だとは思いますけれど。あと、子どもをとことん信用すること。自分に似ている嫌なところには目をつぶって、いい部分をほめて、伸ばしてあげることくらいでしょうか。

 娘はオペラ歌手になり、息子は医学の道へ。2人とも親の押しつけではなく、最終的には自分で考えて将来を決めてくれたおかげで、大変なことも多いと思いますが、それでも楽しそうです

貴重なお話をありがとうございました。今日から囲碁、始めてみます! 撮影/齋藤周造
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 ときには、ストレートに辛らつな意見も述べる辰巳さん。その慧眼には、フムフムと考えさせられました! 辰巳さんの姿を見ていると、自らが身につけた教養は一生ものだと感じました。

(取材・文/池守りぜね)


【PROFILE】
辰巳琢郎(たつみ・たくろう) ◎1958年、大阪市出身。大阪教育大学附属高校2年生のとき、つかこうへいの舞台に感銘を受け芝居を始める。京都大学文学部在学中は、関西では人気・実力ともにNo.1の『劇団そとばこまち』を主宰し、役者としてだけでなく、プロデューサー、演出家として'80年代前半の学生演劇ブームの立役者となる。卒業と同時にNHK朝の連続テレビ小説『ロマンス』で全国区デビュー。以来、知性・品格・遊び心と三拍子そろった俳優として、テレビ、映画、舞台、バラエティと多岐にわたって活躍している。'23年3月には舞台『鋼の錬金術師』に出演予定。

【INFORMATION】
◎テレビ番組『辰巳琢郎の葡萄酒浪漫』BSテレ東にて毎週日曜23:00〜23:30
◎テレビ番組『辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり』BS朝日にて毎週土曜12:00〜12:30
◎舞台『鋼の錬金術師』
 〈大阪〉2023.3/8〜3/12@新歌舞伎座、〈東京〉2023.3/17〜3/26@日本青年館ホール
 辰巳琢郎はキング・ブラッドレイ役にて出演! 詳細は公式HPへ→https://stage-hagaren.jp/

☆辰巳琢郎公式HP→http://www.takusoffice.jp/
☆辰巳琢郎公式Facebook→https://www.facebook.com/tatsumitakuro.official