指の異変に気づいた思春期。デッサンをしていたら「あれ、ほかの子と違う?」

 初めて自分が「ほかの人の指と違う」と気づいたのは、小学校高学年のころだったという。

「いちばん最初に違和感に感じたのが、小学校の図画工作の授業でした。自分の手のデッサンを描くっていう授業があって。自分の手を描くときに、なんか指の形が上手に書けなかったんです。当時絵を描くのが得意でもあったので、“今日は調子よく絵が描けない”って思ってたんですよね。

 それが指のせいだとは思わなかったです。その出来事が最初の違和感で、確信に変わったのが、兄の診断結果でした

 中学1年生になり、兄が自分の指に異変を感じ、病院へ行くようになった。そこで「バチ指」という症状が発覚し、吉田さんも同じ症状を持っていることが発覚する。

「バチ指が発覚して、両親がめっちゃ心配していました。今までまったく気にしていなかったのに、自分より家族が心配することで、より不安になったというか。なんなら現在進行形で親は心配していますね(笑)」

 家族の反応で、自分の指を今まで以上に気にするように。思春期にかけて指に対する意識はピークを迎えたのだとか。

「中学1、2年生のときに、クラスの女の子から“手がキレイな男の子はカッコいい”という会話が聞こえてきたんです。もちろん、僕に向けて言ってるわけではないんですけど、すごく気になってしまって。

 キレイな手が、女子のカッコいいと思う評価基準につながるんだっていうのを知って、ショックでした。それから指を不意に隠したりするようになって、考えれば考えるほどイヤだった」

幼少期の吉田さんの兄(左)、吉田さん(右) 写真/本人提供