運命の分かれ道となった“ニコニコ超会議”

──それからは、少しずつ結果もついてきましたか……?

 いや、苦戦していました。サブカルが好きで入ったものの、企画を出しても、すでにカルカルで開催された内容のものがほとんどで……。横山シンスケさん(東京カルチャーカルチャー店長)とテリー植田さん(イベントプロデューサー/ソーメン二郎(そうめん研究家))という二大巨頭のイベントプロデューサーがあらゆるサブカルイベントをやり尽くされていたんですよね。

 まだカルカルとして足を踏み入れていない新しい分野を開拓していかないと、自分のカラーが出せないなと悩んでいました。

 そんなときに、「ニコニコ超会議」の招待券をもらって行ってみようかなと思ったんです。

 でも、その超会議の前日もイベントでAD入っていて、終電でクタクタで帰宅して……。自宅から開催場所である幕張までもかなり遠かったので、正直、翌日は寝ていたいという気持ちもあったんです。

 でも、「何かあるかも」と自分を奮い立たせて、頑張って会場に向かって……。それが、まさに運命の分かれ道でした。

 そこで「むすめん。」さん(現:MeseMoa.)という、ニコニコ動画の「踊ってみた」で活躍していた投稿主さんが集まって結成された男性グループに出会って、「面白そう」と思って、「イベントをやりませんか?」と声をかけたんです。

 それが実を結び、「むすめん。」さんと秋祭りや冬祭り、メンバーの生誕祭などもするようになりました。

 それがきっかけで、「踊ってみた」や「歌ってみた」「ゲーム実況」などニコニコ動画まわりの投稿主さんのイベントが増えていきました。

 その結果、カルカルにはなかった分野のイベントをブッキングできるようになって、イベント本数も売上も大幅に増えて、ブッキングマンとしての契約にしてもらいました。

宮尾亘さん 撮影/福アニー

──睡魔に負けず、ニコニコ超会議に行ったところにまさかのチャンスがあったんですね!

 そうなんですよ。あの日、寝てしまって幕張に行ってなかったら、今ごろ、コンビニの店長をしていて、ここにはいないと思います(笑)。

 それからは自分自身も、年々うまくステップアップすることができたと思っていて、一番多いときには、月に18本のイベントを入れることができたりして……(笑)。それから数年後には、これまでの売上やイベント制作を評価してもらって業務委託から正社員になって。今、この場所で働いていることを考えると、あの日がターニングポイントだったのかもしれません。

 なので、あの日幕張での「むすめん。」さんとの出会いには今でも本当に感謝しています。

 みなさん、優しくて、裏表のない気持ちのいいメンバーやスタッフの方々ばかりで、「むすめん。」さんとのイベントを通して、イベントの楽しさや推しのみなさんとの一体感、生誕祭の尊さなど、今の自分のイベントの根本になるものを教えてもらったと思っていますし、3月14日の武道館公演が完売になるなど、飛躍を続けるMeseMoa.さんの姿には、今も昔も「自分も頑張らねば!!!!」と大きな刺激を受けています!!