自分がどれだけ裁量と責任を持ってかかわっているかが仕事の面白さと比例してくる

──イベントの企画や運営をしている中で、一番大切にしていることってなんですか?

 月に何本もイベントを運営していると、集客できるイベントとそうではないものがどうしても出てきてしまうのですが、お客さんが少なかったとしても、絶対に手を抜かず、一つひとつを丁寧にやることは意識しています。参加してくれるお客さんにとって、集客数なんて関係ないですし、出演者さんは、お客さんが1人だって100人だって作るプレゼン資料や壇上でのトーク内容は変わらないですよね。だから僕たちも手も抜かない。

宮尾亘さん 撮影/福アニー

 あとは、こうしたほうがいいと思ったことは、出演者の方にも提案するようにしています。

 イベント全体の構成もそうですし、テーブルの位置、BGMは果たしてこれでいいのか、上手から入るのか下手から入るのとか、そういう細かいところもですね。

 お客さんに楽しんでもらえる空間と時間を創ること、それが何よりも一番大切だと思っているので、今ADをやっている人たちにもどんどん気がついたこと、こうしたほうがいいと思うことは提案してほしいと言っています。

コロナ禍でイベントが全キャンセルに。そのとき、心に浮かんだことは……

──コロナ禍でイベントが一切開催できない時期もあったと聞きました。

 そうですね。あのときは、イベントすべてがキャンセルになりました。お酒を含む飲食ができて、みんなでリアルに集うことができて、コミュニティが生まれるというカルカルのいいところが、コロナ禍においてはすべて反転してマイナスになってしまって。記者会見や企業のイベントなど今まで力を入れていなかったジャンルにも積極的に営業をかけたり挑戦していましたが、それでも月に2、3本とかでした。

 何か新しいやり方をしていかなければならないとは思っていたものの、それがパッとすぐには、浮かばなかったですね……。

東京カルチャーカルチャー内観 撮影/福アニー

──そうですよね……生きていくために別の道を選ぶ人たちも多かった時期だと思います。宮尾さん自身はどうでしたか? 別の選択肢が脳裏をかすめることはありましたか?

 いや~でも……それが……なかったんですよね。カルカルのメンバーも独立したり結構変わってしまったところはあるのですが、やっぱり、僕はカルカルのこの雰囲気と150人キャパという規模が好きなんだと思います。

 業務委託のときに、ほかのイベント会社に在籍していたときがあって、誰もが知っている大きな催事イベントに携わってみたこともあったんですけど、かかわる人数が多い分、自分の裁量や自由さはやっぱり少ないですし。

 SNSやオンラインとかITやデジタルが発達すればするほど、その対極に位置しているものって絶対に求められると思っているんです。

 だからこそ、リアルで会って、集まるイベントやライブがなくなることは絶対ないと思う。

 昔と同じような状況が戻ってくるまでには、まだもう少し、時間がかかるかもしれないですけれど。でも、今だからこそ、できることがあると思いますので、将来あのコロナがあったから、今があるよねと思えるように、いろいろ模索しながら前向きに進んでいきたいと思っています!