まだまだ続くコロナ禍ですが、対面で会う機会も少しずつ戻ってきました。しかし、つらいことや仕事のストレスなどがあっても、気軽に「飲みに行こう」とは言いにくいまま……。ちょっとした人間関係の悩みを周りに話す機会も減ってしまったのではないでしょうか。
恋愛指南本も多数執筆している、文筆家でAV監督の二村ヒトシさんに、読者が本気で恋愛相談をするこの企画。第2弾では、「もう10年以上、ちゃんとした彼氏がいない」という30代独身女性のリアルをレポートします。
(第1弾はこちら→【二村ヒトシの恋愛相談#1】“モテの伝道師”が「マッチングアプリで理想の相手に出会えない問題」を本気で解明!)
*今回のゲスト*
山口春美さん(仮名)
10歳以上年下の男子とつきあってみたら、かなりの“プレイボーイ”で……
──二村さんに話を聞いてもらいたいというメールをくださった、春美さん(仮名)です。
二村「今日はですね、何をしゃべっていただいても大丈夫なので、リラックスしてお話しください」
春美「よろしくお願いします。緊張しちゃうので、ちょっと飲みながらでもいいですか」
二村「どうぞどうぞ。お酒、お好きなんですね」
春美「そうなんです(笑)」
二村「飲める人は、まあ飲まなきゃやってられないことも、飲まなきゃ話せないこともあるよね」
春美「仕事は飲料メーカーでマーケティングをやっていて、だからお酒が好きってわけじゃないんですけど。今年35歳になります。名前の春美は、春生まれだからなんですよ」
──いいお名前ですね! 今日はどういう悩みを相談なさりたいのですか。
春美「具体的な話もあるんですけど、その前にそもそも私、彼氏が12年以上いないんですよ。一応“彼氏”と呼べるのは、大学3年のときにつきあった人が最後なんです」
──ずいぶん時間がたっていますね。その間に、誰かとつきあったりはしなかったのですか?
春美「実は昨年の秋、ごく短い間だけど、おつきあいした人がいたんです。今日はその話がしたいんですけど、その彼は正式な彼氏としてはカウントしていないので(笑)」
二村「その人とは、どうして別れることになったんだろう」
春美「つきあって1か月で浮気されまして。浮気したのは向こうなのに、まさかの私のほうがフラれるっていう……。本当に、この世の終わりみたいな気分になりましたね。ここ数年でいちばん落ち込みました」
──ちなみに、どういう人でしたか?
春美「それが10歳以上も年下の子で。仕事で疲れてたタイミングで、彼のほうからグイグイ迫ってきて。年下すぎるし、ないなって思いながらつい遊んじゃったんですけど、なんだか優しくしてくれるし……だんだん心が揺れていったんです」
二村「それで、まあ正式の彼氏じゃないにせよ、なんとなく恋人っぽい関係になってしまった」
春美「気づいたらそんな感じでしたね(笑)。その挙句、浮気されてフラれて、これまで失恋でご飯が食べられなくなるってことはなかったのに、1週間くらい仕事も手につかないし、一日にコンビニのちっちゃいお惣菜1個くらいしか喉(のど)を通らなくなって。お酒は飲んでましたけど(笑)」
──どうやって乗り越えました?
春美「友達と話をしていないと精神的に無理だったので、ほぼ毎晩、誰かを捕まえて飲んで、しゃべってました。それでもなかなか気持ちの整理はつかなくて。戻ってきてくれるかもって、どこか信じていた感じだったんです」
二村「ひとまず、おつかれさまでした。自分の中で事態を消化できてなかったんでしょうね。今は(恋愛の)後夜祭も終わって、多少は落ち着いてきた感じですか」
春美「だいぶ落ち着きました。でも、今までだったら切り替えて次の祭りの準備で(笑)ワクワクしてる時期のはずなのに、なんだかそんな気になれないんですよね。胸がときめくようなことが何もない。それと私、恋愛がひとつ終わると結構ネタにしちゃう癖(くせ)があるんですよ」
二村「それは、いい癖だと思いますけどね。つまり、自分を客観的に見て友達と一緒に笑うことができるってことでしょ」
春美「でも恋愛の渦中では周りがあきれるくらい、何を言われても聞かないんです(笑)」
──なれそめというか、年下の彼とはどうやって恋愛に発展したのですか?
春美「仕事が本当に忙しくて、毎晩22時とか22時半に地元までたどり着いて、1杯飲んで帰って寝る生活をしていたんです。そしたら彼が私の行きつけのバーに、お父さんに連れられて来たんですね。“こいつ、20歳なんだよ”みたいな感じで周囲に話をふって、お店にいたみんなが彼が若いのを面白がっていたんです。私は最初のうちは興味がなかったんですが、話してみると“ちょっと独特の感性の子だな”って思って」
二村「気になった、ていうか気に入っちゃったんですね」
春美「彼は幼いころに両親が離婚して、離れて暮らすお父さんに会いに来てたんです。で、そのときLINEの連絡先を聞かれて、私がその店に来るときわざわざ合わせてひとりで飲みに来たことが何度かあって。あるとき終電がなくなっちゃって、彼がお母さんと暮らしてるお家は遠いってことで、年下すぎて異性として見てなかったから油断したこともあり、“じゃあウチに泊まっていけば”って言っちゃったんです」
二村「それ、彼が終電を逃したの、わざとでしょ(笑)」
春美「そうだと思います。私の部屋に来るなり、なんだか雰囲気を作ってきて。“おとなしく寝なさい”って言ったんですけどグイグイ来られて……。あとで聞いたら、彼は最初から私のことを気に入ってたみたいなんです」
二村「翌朝、どうなりました?」
春美「一夜を過ごして、なんとなく、つきあおうかという感じになったんですけど。しばらくして、どうやら多くの女の子にちょっかいを出してるプレイボーイらしいってことがわかってきたんですよね……(苦笑)。でも年上がギャーギャー言うのも格好悪いし、いちおう私とつきあうことになったんだから、他の女をそんなに追っかけ回したりはしないだろうと」
二村「しかし、何を根拠に”彼が好きなのはあなただけ”だろうって……?」
春美「久しぶりの恋愛で夢中になりすぎて、いろいろ見えてなかったんですかね。おめでたい話なんですけど、もし他に女がいても、順位的には私が上だろうって思い込んでいたんです」