恋愛で自分から猛アタックできるタイプは、誰にでも手を出している!?
二村「“他に好きな女性はいません、春美さんだけです”って言われました?」
春美「全然そんなこと言われてなかったんですよ! 考えてみたらハッキリと“つきあってください”って言われたわけでもなかったし……。ただ、なにしろ最初が猛烈なアプローチだったので、“さすがにここまで好かれているのは自分だけだろう”って思っちゃった」
二村「基本、手慣れた感じで猛アタックしてくる人は、これは必ずと言っていいと思うんですけど、複数の相手に同じことをしてますけどね。上手だってことは、つまり、他でもやってます」
春美「本当ですか!? 」
二村「そして厄介なことに、猛アタックされた人は“ここまで熱心に口説かれてるのは自分だけだろう”って、なぜか思ってしまうものなんだなあって、いま春美さんのお話を聞いて思いました。これは恋愛もののドラマとか少女漫画の弊害だろうって思うんだけど」
春美「絶対そうですね!(笑)私、少女漫画とか大好きなんですよ」
二村「僕は彼のこと責める気にあんまりなれないんですけど、ただ、この記事を読んでるまじめな人というか、恋愛で傷ついたり負けたような気分になったりする人に知っていてもらいたいのは、不器用なアタックじゃなくて女性が心地よいようなアタックの仕方を知ってる男って、そのアタックの対象をではなく、アタックするという行為そのものが、女性を口説いている自分自身が好きなんだってことです」
春美「すごくわかります」
二村「彼は、セックス目的だったとまでは言わないけど、おそらく女性との距離を詰めることが“趣味”なんだよね。そして、ヤリチンを擁護したら怒られるんだけど(笑)、ちょっとタイプの男にグイグイ口説かれるのって、そのときは女性の側も楽しかったりするんじゃないですか?」
春美「そうですね」
二村「春美さんみたいに、美人で10年くらい彼氏がいない女性って、世の中に意外といっぱいいます。もちろん、ずっと男性と何事もなかったわけではないだろうけれど、考えてみたらあれもこれも“つきあっていた”わけではなかったな……、という関係を何人かと繰り返してる。そういう女性が、ふと“この先、私どうするんだろう”って寂しさや不安が頭をよぎったり、精神的に疲れてたりするときに限って、彼みたいな恋愛が趣味な男が近づいてくる。そういうタイミングの人を嗅(か)ぎわける嗅覚がすごいからね」
春美「(笑)」
二村「大げさに言えば、彼らはその趣味に命をかけてるわけですから」
春美「へ~」
二村「同時にいろんな相手に全力でアプローチするなんて、コストも時間もかかるし、つきあっている相手にも失礼だし、普通やらないだろうってみんな思ってるでしょうけど、女慣れしてるモテ男はやってるんです。でも好きになっちゃうとそういうふうには考えたくないよね。モテ男が最終的に他を全部捨てて自分を選んでくれるっていうファンタジーが、少女漫画では多いでしょ」
春美「たしかに、そういう世界観が大好きです(笑)。でも私の場合は、周囲から“モテそうな人だからハマってるんでしょ”って言われて、いざその男性の写真を見せると、“別にカッコよくないじゃん”って突っ込まれるんです(笑)」
二村「いわゆるイケメンじゃなく、個性的な感じがお好きなんですかね。でもね、恋愛が趣味のモテてる男が、イケメンだとは限らないんでね」
──春美さんが男性を選ぶときは、例えば収入や学歴というようなスペックなどは気にしないのですか?
春美「今回の彼はフリーターだったし、過去にも演劇をやっていてフリーターみたいな人がいました。たぶん、私は本能で好きになってるので、相手の肩書きや学歴とか稼ぎはあまり気にしていないですね」
二村「他の元カレさんも年齢は離れていたの?」
春美「演劇をやっていた彼も、6歳年下でしたね。つきあってはいなかったんですけど、数年前にめちゃくちゃ好きになって私のほうからずっとアプローチしていた相手は、同い年でした」
二村「正式な交際とか結婚とかを求める社会性のある関係じゃなく、動物的な恋愛をしてるってことなんですかね」
春美「基本的に相手のステータスを気にして恋愛したくないんです。好きって思えるかどうかが重要だと思っていて」
二村「今回の春美さんのお話は、僕はとても面白いんだけど、切実に恋の悩みの相談をしたいっていうより、私のアホさを聞いてほしいって感じですよね(笑)。春美さんはご自分のことがよくわかっておられる。いや、誰かに話すことはとても大事なことですから、大歓迎なんですけど」
春美「言われてみると、そうなんですよね。私、別に自分の性格に悩んではいないです」
二村「ご飯が食べられなくなるほどつらかったっていう彼との別れの、原因についてもお聞きしたいのだけれど。大前提として春美さんって、自分のことを被害者だと思っていますか?」
春美「被害者……。(ちょっと考えるような表情を見せて)10年以上ちゃんと男性とつきあっていないから、相手があんなに早く心変わりするだなんて思わなかったんですよ。だから最初は驚いてしまって。彼は“僕と一緒にいたら君を不幸にするから”とか、“まだ(自分が若いから)結婚はできない”とかって言うんですけど、こっちも好きになって甘くなっているから“それでもいい”、“他の子と遊んでもいいから、戻って来てほしい”って言っちゃったんです」
二村「若い女の子を好きになっちゃって今回の春美さんみたいに振り回されてる中年のおじさん、いっぱい知ってます」
春美「(笑)。でも思い返すと私も、いろんなことを言って引き止めては、その過程で彼を責めてはいましたね。そしたら向こうはもう心変わりしていたから、戻ってこなかった。私も相手に別の好きな人がいたら無理って思うタイプだし……。だから、被害者意識はないんですよね。現実として受け入れざるをえないけど、受け入れるのがつらいなって感じかな」
──二村さんから見て、春美さんの年下君との恋愛はどうでしょうか。
二村「これはもう出会い頭の事故みたいなもんじゃない? 彼がグイグイ来るうちに、春美さんのほうが遊びじゃなくなっちゃった」
春美「私も初めは、そういうことになっちゃって、“あー、やっちまったな”って反省したんです。1回セックスしたくらいで踏み込んできてほしくないし、店の飲み仲間に関係がバレたら嫌だなって最初は思っていた。でも後日、一緒に昼から街ブラしたとき、話も弾んで楽しかったんです。そのときに、“もっと一緒にいてもいいかも”って思ってしまって……」
二村「長く一緒にいるのがアリだと思った瞬間から、独占欲がわくのかな」
春美「そうなんですよ! それからは店でも他の女の子と話したりしてるのを横目で見るたびに“なんか嫌だ”って思うようになっちゃった。そんな嫉妬心が伝わったあたりから、向こうがつけあがり始めましたね」
二村「春美さんにとって、彼の魅力って何でしたか? カラダの相性がよかった?」
春美「それは、そこまでではなかったんですけれど……。話も合うし、料理を作ってくれたり意外と優しかった。最後のほうはセックスしなくても普通に一緒に寝るだけ、みたいな夜も多かったのが、新鮮だったんです」