地域外の人がその地域のファンとなる「関係人口」づくり
現在、おてつたびでは企業と連携し、休暇が取りにくい会社員の方も参加できるモデルづくりを展開。昨年には第1弾として、KDDIの社員が長野県中野市にて休耕田の草刈りや「ぼたんこしょう」の収穫のお手伝いを実施。「10名ぐらいの定員数だったのですが、5倍ぐらいの方が手を挙げてくださいました」と手ごたえを感じたそう。
「私たちのビジョンである『日本各地にある本当にいい人、いいもの、いい地域がしっかり評価される世界を創る』を、おてつたびのツールを通じて知らない地域のファンになってもらうというのを掲げていますが、実際におてつたびを終えた後も、その地域の産物を買い続けていたり、何度も訪れたりといった“関係人口”が増えているのは嬉しいことです」
関係人口とは、移住した「定住人口」でも観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様にかかわる人々を指す言葉ですが、永岡さんは「まだまだ私たちができることがあるんじゃないのかなと。好きになった地域を応援して、よりお金が落ちるような形を作っていくのが次のステップ」と先を見すえています。
過疎化に少子高齢化、コロナ禍による観光客の減少などはありますが、地方にはまだまだ知られていない、人を寄せつける魅力が詰まっています。
「ナイス・トゥ・ハブ(あればよいが、なくても問題ないもの)ではなく、マスト・ハブ(絶対に必要なもの)を作らなければ」と模索した末に永岡さんが生んだ“おてつたび”。就労しながら旅行するという、一見するとミスマッチなこのキーワードは、Z世代のみならずX・Y世代、さらに前の団塊世代をも魅了する、地方再生の新潮流となっています。
(取材・文/松平光冬)