人生でいちばん言った言葉は!?
──食べ物はどんなものがお好きだったんでしょうか。
「広島焼き(お好み焼き)とか、カレーとか。夜もよくご飯に連れていってもらって、だいたい秀樹さんの食べたいものはわかっているから僕が注文するんですよ。
“揚げ出し豆腐”って言ったら秀樹さんが “そう!”。“厚焼き卵”って言ったら “そう、それなんだよ” “わかっているな” みたいな(笑)。きんぴらとか素朴な和食が大好き。もちろん僕も大好きで食べ物の好みもすごく似ていました」
「ただ、お酒だけはとてもあんなふうには飲めません。身体も大きいですし、やっぱり飲む量は尋常じゃないです。特に40代のころなんて、ロックで一気飲みしていたそうです。それだけ神経が張り詰めていたんでしょうね。
あの地位でずっとキープしてやっていく、精神的なストレスってすごかったと思うんですよ。いろんな人がいろいろなことを言うわけじゃないですか。そのなかで、やっぱり夜は忘れたかったのかなぁ、と。じゃないと、そんな飲み方はしないでしょう。ある種、心のお薬だった」
──どこへ行っても「西城秀樹だ」ってなりますから……。
「やっぱり優しいし、人を傷つけない。後輩にも優しいし、何か言われても “ん……”って1回飲み込む人なんですよ。
おもしろかったのは1回、サンフランシスコのライブのために、大使館にビザを取りに行ったんですね。そこでインタビュー(面談)があるんですけれども、どうしても対応がぶっきらぼうなんですよ。しかも、いつもは一緒にいる片方さん(マネージャー)が歌う人じゃないからって、中に入れなかったんですよ」
「それで秀樹さんと僕と何人かで入ったら、そこの外国人の担当の人が秀樹さんにとっても失礼な態度で。まだ来んな、あっち行ってろ、みたいに思いっきり横柄なんですね。僕も “国のこういう機関やから、しょうがないですね” なんてぼやいてたんですけど、たぶん秀樹さん、ずっと腹が立ってたんですよ……。
外に出て片方さんの顔を見るなり “片方、あいつは何なんだ!?”って言うんです(笑)。片方さん、見てないんですよ(笑)。“片方、あいつをどうにかしろ” みたいに言うんですけど、片ちゃん、それ、知らんから、みたいな(笑)」
──なんだか目に浮かびます(笑)。
「だから、本当に片方さんを頼りにしていたんですよ。秀樹さんにとっては、お酒と片方さんがないと “西城秀樹”を保てなかったなと思います」
(マネージャー・片方秀幸さんインタビュー記事はこちら→西城秀樹さんと35年、間近に接した愛すべき素顔「飲み屋で隣り合った人と──」)
「もうひとつ、これは僕がうれしかったんですけど、エレベーターで部屋に上がるときに秀樹さんと片方さんがちょっと話してたんですよね。そのときに僕が何か言ったら、秀樹さんが “俺と片方は一心同体なんだ” と言ったんですよ。
これって、俺が片ちゃんやったら嬉しいやろうなぁって。それぐらい秀樹さんにとって、いてもらわないと困る人。ぶっちゃけ “片ちゃん、どこ?”って人生でいちばん言ったと思います。ちょっとでも見えなくなると不安みたいで」
「秀樹さんがよく言う言葉で僕のトップ3があるんですけど、まず3位が “コーヒーちょうだい”。2位が “今、何時?”。
ちゃんと時計しているんですよ(笑)。しかも高級時計しているのに、とにかく“今、何時?” “秀樹さん、5分前に時間聞いてましたよ” みたいな(笑)。で、1位が “片ちゃん、どこ?” です」