寂しくて戻ってくる
──今年は秀樹さんのデビュー50周年。久しぶりにライブもありました。コンサートで思い出されるのは、どんなことでしょう?
「やっぱり秀樹さんのコンサートの演出家って秀樹さんなんですよ」
──実はセルフプロデュースに近い?
「そうです。細かい音符とかバンドの音のことは別として、全体の構成とか演出をすごく意識されていて、秀樹さんがほとんどプロダクションを作っているんです。いちミュージシャンが思いつかないような、おっきな演出なんですよ。
簡単に言うと、全員で止まるとか。全員でジァンジァンジャンとやるとか、そういう大きなものが僕らミュージシャンは灯台もと暗しで。目の前のディテールを詰めることが多いんですけど、すごく俯瞰(ふかん)で見ていらっしゃる」
「それと、やはりオープニングのへのこだわりがとっても強い。オープニングだけ10回ぐらい繰り返していました。オープニングさえ決まれば安心するみたいで。あとはさんざん歌ってきている曲ばかりなので、“じゃあ、よろしくね”って楽屋に行っちゃんですよ。
で、僕らはまだやってるじゃないですか。楽屋行って寂しくて、ひまで、また戻ってくるんですよ(笑)。行ったり来たりしていました(笑)」
──かわいい人ですね。
「本当におちゃめです。まだまだ僕が知らない楽しいエピソードもいっぱいあると思います。関係者の人たちはみんな言うんですよね。秀樹さんがどれだけおもしろかったかって。
だから僕も伝えたいんです。秀樹さんがどれだけチャーミングで魅力的な人だったか。
秀樹さんの話をしているとすごい幸せだし、その時間が大好きなんですよ。泣きそうになったりもするんですけど、こうして話せる機会ってなかなかなかったので……。本当に聞きたいと思ってくださっている方々にお伝えできるじゃないですか。それが本当にうれしいんです」
(取材・文/川合文哉)