“豊富すぎる経験” 人生そのものが、エンターテインメントになりうる
──メタばあちゃんプロジェクトでは、新メンバーオーディションを開催していましたよね。改めて、今後どのようなメンバーを迎えたいとお考えですか?
下西:オーディションの募集要件にも書いたとおり、75歳以上の方で「キラリと光る一芸をお持ちの方」に来ていただけたらうれしいですね。一芸の中身は、日本舞踊でも、楽器の演奏でも、何でも構いません。この活動を通じて生きがいをつくってみたいと考える方に、ぜひ応募していただけたら。
──応募状況はいかがでしたか?
下西:本当にさまざまな方から応募いただいています。定年退職してからジャズシンガーとして活動を始めた方や、華道・茶道の師範の資格をお持ちの方、病気をしてこの先の人生と向き合い「最後にひと花咲かせたい」と考えた方など、多様な方が集まっていますね。中には応募要件に満たない75歳未満からの応募もあります。そういった方からの応募には「早く75歳になって、メタばあちゃんに入りたいです」というメッセージがついていることも多くて。メタばあちゃんの活動が、今後多くの高齢者に夢や希望を持ってもらうきっかけになればと改めて感じました。
──メンバーが決定した後は、どのような活動を考えているのでしょうか。
下西:活動としては一般的なVTuberと同じように、「歌ってみた」動画の投稿やオリジナルソングの発表を中心に考えています。あとは集まったメンバーの特技次第ですね。日本舞踊が得意な方がいれば、メタバース空間の中で踊りを披露してもらうのも面白いなと想像しています。
──ぜひメタばあちゃんプロジェクトを手がけている下西さんのご意見を伺わせてください。これから高齢者の数がどんどん増えていく日本社会に必要なことは何だと思いますか?
下西:「高齢である」ということをポジティブに捉えるマインドと視点が必要なのかなと思います。今回、メタばあちゃんプロジェクトを手がけてみて、高齢者は人生経験があまりにも豊富なので、ネタが尽きないなと実感したんです。その人の人生がまるごとコンテンツになりうる。もちろん、長く生きていることで、本人が経験の中身を忘れていることも多いのですが(笑)。
でも、歳をとるということは、経験値が貯まっていくことと同義だと僕は思います。だからこそ、高齢者が増えるということは、経験豊富な方がどんどん増えていくんだと捉えていくことが必要なのではないでしょうか。高齢者を保護する、ケアする対象として見るだけではなく、仕事も含めてその方にできることを担ってもらおうという視点もこれからは大切になる気がします。高齢者の方にはぜひ、新しいことに積極的にチャレンジしていただきたいです。
メタばあちゃんプロジェクトはまだまだこれからなので、ぜひ今後の活動に期待していただけたら嬉しいです!
──ありがとうございます! 最後にひろこさん、ぜひ読者へのメッセージをひと言いただけないでしょうか。
ひろこ:じゃあ、若い人に向けてね。これから元気を出して、くよくよせずに、自分の思ったことをどんどんやってみてほしいなと思います。
(取材・文/市岡光子、編集/FM中西)