B面曲「緑色のラグーン」がまさかの2位に! 本人も大好きなこの曲の魅力は?
そして第2位には、なんと'84年のシングル「誘惑光線・クラッ!」のB面曲、「緑色のラグーン」が入った。早見の場合、この2月までシングルベスト集のようなアルバムがストリーミング未配信だったため、この曲は、シングルを指定しなければ気づかれないことが多いのだが、それにもかかわらず、大人気曲「夏色のナンシー」の半数程度の人気を獲得。よほど多くのリスナーがプレイリストに組み入れて再生されていると推測される。
「これもうれしいですね! 実は昨年、高嶋ちさ子さんが司会のコンサート『めざましクラシックス』に出演する際、“2曲を選んでください”と言われ、サントリーホールでの大人の雰囲気に合わせて『緑色のラグーン』を歌ったんですよ。今聴いても古い感じがしないし、メロディーラインはシティポップと言われる作風にも当てはまるし、歌詞がちょっと可愛くて、改めていいなと思いました」
いわゆるヒット曲としてならば、A面の「誘惑光線・クラッ!」のほうがキャッチーなはずだが、早見はこの「緑色のラグーン」を、'90年の自選ベストで選曲したり、'02年のCD BOX『ぼくらのベスト』でも絶賛したりと、こんなに世界的に人気になる前から「大好きな1曲」と公言している。早見のセンスに時代が追いついてきたともいえそうだ。この歌の魅力は、どういったところだろうか。
「当時から大人びていたかはわからないですし、そんなに落ち着いた歌が好きだったわけでもありませんが、これは聴いていても、歌っていても心地いい曲だと感じますね。先日、松本伊代ちゃんや森口博子ちゃんとのジョイント・コンサートでも『緑色のラグーン』を歌ったんですよ。そうしたら、伊代ちゃんが、“なに、この歌! 聴いたことない!”と驚いて、“シングルのB面なの”と答えたら、“えっ!? B面を歌うなんてアリなの?”って(笑)。でも、シングルのA面、B面ともいい歌なんだから、発売当時、もう少し待ってから(『緑色のラグーン』も)A面で出したら売れたかも……なーんて(笑)」
こうして時を経て“記憶のヒット曲”があぶり出されていくのも、ストリーミングサービスの醍醐味(だいごみ)といえる。そのシングルA面だった「誘惑光線・クラッ!」も第4位。こちらは当時、累計約15万枚で5番手のセールスだったので、記録でも記憶でもヒット曲となっているといえるだろう。筆者も、'21年の『筒美京平の世界 in コンサート』にて早見が本作を歌うのを観たが、キレのある歌唱でますます現役感を増していて感動した記憶がある。
「『誘惑光線・クラッ!』は、松本隆さんの作詞活動45周年コンサートで先方からオファーがあって、すっごく久しぶりに歌ったら、やっぱり私はこの曲が大好きなんだな~って気づきました。そのコンサートからずっと歌っている感じですね」
ちなみに当時のライブ音源や映像を観ると、「夏色のナンシー」と「誘惑光線・クラッ!」は、会場からのかけ声もあって大いに盛り上がる2大ソングだったと感じる。当時の早見は17才。ひとりの高校生が、全国各地の大ホールでのコンサートで先頭に立って歌っていたとは、ものすごいことだ。本人にプレッシャーはなかったのだろうか。
「あのころはみんなソロで歌っていたので、それが当たり前だったんでしょうね。確かに、最初のコンサートが1000人以上を収容する日本青年館ホールで、すごくドキドキしていましたが、『夏色のナンシー』がヒットして全国を回るようになってからは、ステージの広さなどは気にならなかったです。どんな構成にすればお客さんがノッてくれるかな~って、いつも考えていました。でも、昨年『クリスマス・キャロル』という舞台に立った会場は、39年前、名古屋で初コンサートを行ったところ(日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール)だったそうなんですが、客席を見渡して、“こんな広いところでやっていたんだ……”と驚きました」