なぜ高橋一生と共演する役者は魅力的なのか?
どうしてベテランから若手まで、高橋さんと共演する役者はこうも魅力的に見えるのか。それは高橋さんが同じ作品の中で、主役にも脇役にもなれるからだと思います。
高橋さんが演じる主人公は多くの場合、どこか拗(こじ)らせていて面倒臭いのだけど、そこが愛らしくもある人物です。醸し出す雰囲気から言動までかなりキャラ立ちしているのですが、さらにクセの強い登場人物をぶつけてもケンカにならず、スッとなじむのが面白いところ。そういうとき、高橋さんの対峙(たいじ)する相手の言動を際立たせる受けの芝居が効いています。
自分の見せ場じゃないときは、演じるキャラのままで相手の芝居を真摯(しんし)に受け止める。前に出すぎず、後ろに下がりすぎず。そのバランス調整が絶妙だから、自分も相手も魅力的に見せることができるのでしょう。
見ているこちらも高橋さんの大きな懐に包み込まれ、放送後は安眠できる。そんな『6秒間の軌跡』もそろそろ折り返し。航は本当に幽霊なのか? という物語の核心に迫りつつある本作の展開が今後も楽しみです
(文・苫とり子/編集・FM中西)