最新アルバム収録の新曲3曲、それぞれの思い出は? 2023年はコンサートに意欲

 ここからは「Dear Earth~Affection mix~」も収録されている40周年記念アルバム『Affection ~YU HAYAMI 40thAnniversary Collection~』を紹介したい。本作は、これまで発売された7インチシングルのA面30曲に、近年のアルバム収録曲やレア・トラック、さらには早見にゆかりのある人たちとともに作り上げた新曲3曲が収録されている。

洗練された大人の魅力が感じられる『Affection』のジャケット写真

 新曲について、まずは早見優、松本伊代、森口博子の3人で歌った明るい王道のアイドルポップス「今が一番好き」から語ってもらった。

「新曲は、いずれも川原伸司さんがプロデュースしてくださいました。『今が一番好き』を3人で歌ったのも川原さんのアイデアで、ビクターにいらしたときに、ディレクターを担当していたThe Good-Byeの野村義男さんに歌詞を書いてもらえました。伊代ちゃんと博子ちゃんとはもう10年近く全国のライブ会場を回っていますね。3人の仲のよさは客席からもよくわかるようで、お客様からは“みんな、すごく若返った!”と言ってもらえます。なので、博子ちゃんが、“自称・若返るコンサートですから”ってMCで言うくらいなんです(笑)。

 博子ちゃんは3年後輩ですが、『青春のポップス』あたりから共演が増えました。最初に3人が共演したのは、たまたま(イベント出演などの)営業活動が一緒になったからで、そこから回を重ねるたびに息がピッタリになりました。いつも、“練習しましょうよ、先輩!”と博子ちゃんが声をかけてくれて、伊代ちゃんと私がスタジオを予約してLINEで連絡し合うといったことが、とても自然にできる仲なんです

 また、「make lemonade」は早見と、早見の2人のお嬢さんとのコラボ曲で、3人が気負わず穏やかに歌っているのが印象的だ。

「『Dear Earth』の英語バージョンの仮歌を私の声で録る際、半崎さんのキーがとても高くて不安だったので、川原さんの了解を得たうえで、海外にいる娘たちにリモートで歌ってもらったデータをミックスしたんですよ。そうしたら川原さんがとても気に入ってくださって、親子3人の新曲を提案してくださったんですね。

 長女のありさは小さいころから歌が大好きで、Spotifyでも楽曲を発表しているほど。次女のかれんは今回が初めてですが、作詞の共同作業も含め、とても楽しくできました!

 作詞は、歌唱同様に“早見優/ありさ/かれん”名義となっているが、英語フレーズが多いのに加え、「懐かしいne」「ひとりじゃないんda」など、日本語の語尾に遊び心が添えられているのもほほえましい。

「最初は、“英語曲を歌ってみては?”と提案されたのですが、私たちは日常的に日本語と英語をミックスして会話をしているので、その感覚で書いたら、こんな風になりました。語尾の“ne”や“da”は可愛い感じにしたかったんですね」

 確かに、このほうが“make lemonade”ということわざの意味、“よくない状況下でもポジティブなことを見い出す”のとおり、よりリラックスした気持ちが伝わってくる。

 そして、もうひとつの新曲「Your Last Woman」は、親友のアン・ルイスによる作詞(Annie名義)、彼女の息子である美勇士による作曲の落ち着いたラブ・バラードだ。

実は、アンには2回断られているんです。“何も思いつかない”って言われたのですが、“今(概要を)しゃべったから、もう思いつくでしょ?”って再度お願いしたら、2週間後にすてきな歌詞が送られてきました。アンとは、ロスに行くたびに必ず会いますね。初対面のデビュー当時、アンは大先輩なのでかしこまって話をしていたんですが、“そんなの抜きで仲よくなろうよ!”って、アンのほうから言ってくれたのがきっかけです。あるときアンに、ロック系の歌を歌いたいって相談したら、“そういうことは、ちゃんとディレクターさんに伝えたほうがいいよ“って背中を押してくれました

 そうして当時、アン・ルイスの楽曲をカバーして発売したのが'85年のシングル「Tonight」で、その後、何度かの再ブレイクを果たしている。最後に、今後の活動の予定について語ってもらった。

「実は昨年、契約の関係で一時期、私の楽曲がSpotifyから一斉に消えてしまったときに、海外のリスナーの方が何十人も“何かあったの?“って、メッセージをくださって。“ああ、ちゃんと聴いてくださっているんだ”って、とてもうれしかったんです。ストリーミングサービスやSNSのおかげで、ファンの方との距離が近くなりましたよね。

 今年は、『夏色のナンシー』の発売から40年なので、コンサートを積極的にやっていきたいです。昨年できなかった、デビュー40周年のコンサートもぜひ! ここでのSpotifyでの上位曲を歌えたら面白そうですね!

貴重なお話をありがとうございました! デビュー40周年記念コンサート、ぜひ開催されますように! 撮影/伊藤和幸
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 早見優について、“花の82年組アイドル”、“バイリンガル・タレント”といった、華やかでスマートなイメージを持つ人も多いことだろう。それはある意味正しいのだが、実際には音楽活動において何度かの紆余曲折があり、その時々において新たな路線に懸命にトライしてきたことが、この楽曲リストからもよくわかる。彼女の楽曲を聴いてみれば、“こんなに歌がうまかったっけ?”、“こういう歌も歌えるんだ!”と驚く人も多いことだろう。リアルタイムで「夏色のナンシー」を聞いていた世代の方々にも今一度、彼女の歌を聴いてもらいたい。あなたの中の何かが変わるはずだ。

Spotifyの早見優アーティストページも要チェック! ※記事中の写真をクリックするとこの写真と同じページにジャンプします

(取材・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)


【PROFILE】
早見優(はやみ・ゆう) ◎日本生まれ。3歳から14歳までグアム、ハワイで過ごす。14歳でスカウトされ、'82年「急いで!初恋」で歌手デビュー。「夏色のナンシー」「PASSION」などのヒット曲がある。上智大学比較文化学部日本文化学科卒業。特有の国際感覚とバイリンガルを生かし幅広く活躍。'18年にはデビュー35周年記念ベストアルバム「Celebration」を、'22年にはデビュー40周年記念ベストアルバム「Affection」を発売。現在、NHK WORLD「Dining with the Chef」 、NHK ラジオ「深夜便ビギナーズ」にレギュラー出演中のほか、JCV(世界のこどもにワクチンを日本委員会)のスペシャルサポーターとしても活動している。

【INFORMATION】

【CD】Affection〜YU HAYAMI 40thAnniversary Collection〜
 デビュー40周年を迎える早見優のアニバーサリーアイテム第3弾。40年のヒストリーを感じさせる輝かしい代表曲の数々、今回初CD化のレア曲、そして新曲3曲までを網羅した41曲、3CDアルバム! 定価6600円(税込)

◎早見優オフィシャルサイト→https://www.yu-hayami.com/
◎公式Blog→https://ameblo.jp/hayami-yu/
◎公式Instagram→https://www.instagram.com/yuyuhayami/?hl=ja