ドラマ『俺の家の話』のプロレス監修で大変だったこと

──長瀬智也さん主演の『俺の家の話』(TBS系ドラマ・2021年放送)では、プロレスシーンの監修を務めていました。こちらの作品にかかわるきっかけは何でしたか?

「もともとは、ガンプロの勝村(周一朗)さんと長瀬智也さんが幼なじみだったんです。撮影が始まる結構前から、勝村さんが長瀬さんから“宮藤官九郎さん脚本でプロレスのドラマをやるから協力してほしい”と言われていた。そうしたらTBSに呼ばれて、プロデューサーの磯山(晶)さんから本当に“お願いします”と言われて、“まじっすか!”って驚きました(笑)」

──ドラマでのプロレスを表現するのはどのような部分が大変でしたか?

「そうですね。僕はプロレスファンが観て、“こんなのありえないよ”ってリアリティがないものにはしたくなかったし、ファンに悲しい思いはさせたくなかった。でも逆にプロレスを知らない人が観ても楽しめるようにしなければならないので難しかったですね。そのバランスに気をつけて、制作陣と意見を戦わせながら作っていきました

──レスラー役を演じた長瀬さんの評判もよかったですよね。

「確かに長瀬さんはめちゃくちゃ練習していましたね。練習中に、長瀬さんが必ずおやつを食べる時間があったんですよ。なんでだろうって思ったら、やせないために時間を決めて食事を摂って、体格を大きくしていたんですよね」

「できれば身体が動かなくなるまでレフェリーをやりたい」と木曽さん 写真提供/DDTプロレスリング

──木曽さんは、レフェリーはいつまで続けたいですか?

できれば身体が動かなるまでやりたいです。毎週、試合があるじゃないですか。まるで何回も文化祭があるみたいな感じなんです。DDTは両国国技館で何度もビッグマッチを行っているのですが、エンディングにMISIAさんの『INTO THE LIGHT』が流れるんです。その曲を聞くと、どれだけつらくても“頑張ってよかったな”って思っちゃうんですよ。何もないところにリングを作って、イスを並べる。そこにお客さんが入ってきて、“楽しかったね”と言って帰っていく。またリングを片づけて……って続いていく。まぁお金も欲しいですけど(笑)。それの繰り返しですね」

──実際に辞めたいと思ったことはありましたか?

ないですね。選手も含めてプロの職人が集まってひとつのものを作り上げるのが楽しいんですよね。僕はどれだけキャリアが長くなっても、若い子とリング設営から一緒に作っていくと思いますね

  ◇   ◇   ◇  

 天職という言葉がありますが、好きならばこそ続けられる仕事もあるもの。リングの上ではなくてはならない存在のレフェリー。その個性に気づくと、さらに試合が楽しくなるかもしれません。

(取材・文/池守りぜね)

〈PROFILE〉
木曽大介(きそ・だいすけ)
1978年1月24日生まれ、石川県金沢市出身。2年間の下積みを経て2010年にレフェリーデビュー。栄養士、ライターの肩書を持ち、元サンビスト、元講師でもある。地方巡業ではリングトラック班として深夜の高速道路を疾走中。

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