タイの映画監督から見た日本のファンの印象

 彼らを間近に見ていると、日本でも、タイ人俳優たちが、今まで以上にファンサービスに力を入れてくるようになったと話す高杉さん。

「ある俳優さんは、Q&Aコーナーで使う質問を事前に受け付けるのではなく、その場で書いて箱に入れてもらい、箱から引いた質問の紙を持って、質問者の目の前で答えていました。鬼サービスにアクセルがかかってきたな、と感じました。

 また別のファンミでは、会場のライトをつけるように要望し、2階席のいちばん奥の席に座っているファンにまで視線を送っている俳優を、目の当たりにしました。その他、タイの俳優のファンミでは、自分の持ち歌のサビ部分を、一部日本語の歌詞に翻訳して歌うことが多く、それをファンが聴くと、会場は毎回悲鳴に包まれます。

 タイ人の俳優たちは一人ひとり、それぞれに異なる魅力を持っていて、ファンを大切にしていますから、人気が出るのもわかります

 日本のファンに感激しているのは俳優だけではない。タイの映画監督などは、映画祭の質疑応答やメディアの取材に熱心に答えることが多いのだが、それは、作品をより深いところまで見てくれていることがわかるからだという。

「メディアの取材で通訳を担当することも多いのですが、“みんなすごく深いところまで質問してくれて、自分が気づかなかったような視点で作品を見てくれるので、質問に答えるのが嬉しい”と、話す監督は多いですね。

 映画祭で一般の方からの質問でも“直接いろんなやりとりができるから楽しい”と、喜んで答えてくれています」