誰でも一度は見たことがあると思われる、所在なさげに落ちている片手袋。どうして片方だけなのか? 人はなぜ片方だけ落としてしまうのか?
謎を検証すべく、2005年から片手袋の研究・考察を始め、著書『片手袋研究入門 小さな落としものから読み解く都市と人』(実業之日本社刊)も上梓した石井公二さんにお話を聞きました。
片手袋が落ちている場所の特徴
そもそも手袋が片方だけ落ちていることに、法則のようなものはあるのか? 石井さんによると、落ちている場所には大きく分けて2パターンあるといいます。
「ひとつは『落としやすい場所』。例えば切符の券売機やバス停の周辺、スーパーマーケットのレジまわりなど、お金の出し入れをする場所がそうです。冬場に手袋を外して財布の中身を取り出そうとしているうちに忘れちゃう……とかですね。あとは、駐車場で車から外に出るときのように、温度が変わる場所でも落としやすいです」
横断歩道で信号待ちをしていて、手袋を脱いでスマホをチェックする際に落とすケースも多いそう。
「手袋を落とす要因としてスマホが占める割合は増えたと思います」
そして落ちている場所のもうひとつのパターンは、「落ちた手袋がとどまりやすい場所」。
「落とした場所と見つかる場所が違う場合もあります。落とした場所にずっとあるわけではなく、階段の段差や排水溝など、風で吹かれたり雨で流されたりなどして、落とした場所から離れてとどまることもあります」