刈谷先輩×玉本先輩、ライバルゆえの信頼関係

 そして、今回再登場となったのが3回生の刈谷先輩(高杉真宙)と玉本先輩(細川岳)です。刈谷先輩はスワン号の設計、玉本先輩はプロペラ作りを担当していました。現在は2人で会社を立ち上げ、人を乗せて空を飛ぶ大きなドローン=空飛ぶクルマの開発に挑んでいます。

 “なにわの天才”と呼ばれる刈谷先輩は設計に関して一切妥協できない性格。また、「最高に仕上がった飛行機と最高に仕上がった由良が未来で待ち合わせしとる」なんてカッコいい台詞をさらっと言ってのけるロマンチストな一面も持ち合わせています。

 そんな刈谷先輩が仕事のパートナーに選んだのは玉本先輩でした。2人は昔からぶつかることが多かったので意外に思われた方も多いかもしれません。だけど、実は刈谷先輩の性格をいちばん知り尽くしているのは玉本先輩のように思えるのです。

 学生時代、舞がスワン号のパイロットを務めることに反対し、サークルを一時離れていた刈谷先輩。代わりに玉本先輩が舞の体格に合わせスワン号の設計を変えようとして、刈谷先輩が怒ったことがあります。そのとき、玉本先輩が今回みたいに設計担当が急にいなくなっても、部員が困らないように1年のときから設計の勉強をしてきたことが明らかになりました。

「お前から見たら素人やろうけどな」と悔しさをにじませながらも、最後は「確実に記録狙うんやったらお前の設計でないとあかん」とその役目を託した玉本先輩。誰よりも刈谷先輩のすごさを理解している彼こそ、パートナーとしてふさわしい! 同志でありライバルでもある2人の、まるで少年漫画みたいな熱いやりとりが私は好きです

魅力的すぎるなにわバードマンたち!

 他にも、いつもは寡黙なのに「スワン号が飛ぶところを見たい」という熱い思いを舞に語ってくれた“永遠の3回生”こと空さん(新名基浩)、のちに舞が企画したオープンファクトリーに准教授として協力してくれた渥美先輩(松尾鯉太郎)ひょうきんな仕草が注目された西浦先輩(永沼伊久也)、舞をサークルの見学に誘ってくれた爽やかな佐伯先輩(トラウデン都仁)、舞の同期である初々しい新入生の藤谷くん(山形匠)と日下部くん(森田大鼓)。

 彼らの空への強い憧れ、そしてものづくりに対する情熱は、現在の舞を形づくったといえます。その原点に今立ち帰ろうとしている舞。空飛ぶクルマの有人飛行が成功するとき、その操縦席に座るのは舞かもしれません。最後に、舞がみんなの想いを乗せて空を飛ぶ姿が見たい!『舞いあがれ!』の最終回に期待が高まります

(文・苫とり子/編集・FM中西)