──そうですよね(笑)。空耳は元の歌詞やアーティストのカッコよさとギャップが大きいほどおもしろかったです。

ただ最近はコンプライアンスが厳しくなってきて、影響を受けていた気も若干します。ジェンダーにまつわるワードや、ちょっとブラックなVTR(ビルから飛び降りる等)は少なくなってきていたような気がしますし....。

 空耳アワー自体は言葉遊びじゃないですか。だからNGワードが増えるとおもしろさの幅が減っちゃうのは間違いなくて……。ファンとしてはコーナーとしてやりにくかったんじゃないかなぁ、と感じました

──いま考えると、そこを軽快なギャグととらえられる人が楽しめる番組だったんだろうな、と思います。

「そうですよね。いい意味でコーナー自体に深みもなく、考えもないですからね。もう放送が終わったら忘れているという(笑)。あの軽快さが"粋"というか、素敵でした

 タモリさんの言葉に“適当がいちばん”とか“やる気があるものは去れ”というフレーズがありますけど、コンプライアンスが厳しくなるほど、その飄々さが際立っていましたよね」

「もう自分で見つけられるでしょ」という番組からのメッセージ

──空耳アワーだけでなく、タモリ倶楽部自体もお好きだったんですね。

そうですね。もちろん大好きで気がついたら今まで見続けてきました

 大量生産・大賞消費のメインストリームだけじゃない、普段は焦点の当たらないサブカルチャーのよさというか……。“こういう分野もおもしろいんだよ”と取り上げてくれる番組はあることはあるんですが、対象者をリスペクトしタモリさんの私見も交えつつ、中身の濃い内容で、しかも堅苦しいわけでもなく絶妙な塩梅で紹介してくれる番組は他にないんじゃないかなぁ、と思いますね」