空耳アワーはタモリさんだから成立した
──空耳アワーを誰かに引き継ぐのは難しいんですかね。個人的には川原田さんにYouTubeでやってほしい(笑)。
「いやいや(笑)。フォーマットがあるので、ただやるだけなら誰でもできると思いますけどね。でもやっぱりタモリさんでないと意味がないと思います。
四ヶ国語麻雀に出てくるインチキ外国語とか、ハナモゲラ語とか、あとはつぎはぎニュースとか、45回転のレコードを33回転にして遊んだりとかね……。なんというか、言語学や冗談音楽を使って革新的な遊びをする第一人者だと思うんです。そんな人がホストをしていることに意味があるんじゃないかなぁと思います。
だから評価はちょっと辛口なときもあるけど“タモさんが言うならそのとおりだろう”って納得できます」
──すごくよくわかります(笑)。
「実は空耳アワーが始まる15年前、1977年にリリースした『タモリ』というデビューアルバムで、タモリさんはキューバ音楽の『キサス・キサス・キサス』を空耳の日本語で歌ってるんですよね。
空耳アワーは32年ですが、タモリさん自身“外国語の発音を日本語に置き換える遊び”はもう45年くらいやってらっしゃるんですよ。そんなタモリさんだからこそ、みんな納得して見られた。だから、誰にも引き継げないと思います」
──なるほど。でもそんなタモリさんのユーモアを、これからは番組ファンが引き継いでいくことが大事だと。
「そんなメッセージを発している気がします。でも“一所懸命、おもしろいこと探すぞ”と意気込むのではなく、ただ普通に生活するだけで見えてくると思います。ファンとしては、番組を見るなかで自然に“目のつけどころ”を学んでいると思うので。
私自身、32年間空耳アワー辞典をまとめるにあたって他人にはどう見えているかわかりませんが奮起したことはないですからね。ただ自分が楽しいからやっていたわけです。
これから最終回で放映された分をまとめて、次のコミケでファンのみなさんと交流できるのを楽しみにしています。あとは今後、特番で復活するのを楽しみにしようかな、と思います」