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芸能

“リアリズム=芝居をしない”を追求する尚玄、主演作でMEGUMIと実践したストイックすぎる役づくり

SNSでの感想
尚玄さん。インタビューを通し、芯の強さが伝わってきました 撮影/小橋川恵里奈
目次
  • 役づくりのため、キープしていた“ボクサー体型”を捨て10キロ増量
  • “人を赦すこと”とはどういうことか? 自分の心に問いかけてほしい
  • MEGUMIさんとは台本にないなれそめも細かく設定し役になりきった
  • リアリズム=芝居をしない。ストイックな役づくりで国際的な賞を受賞

 端正な顔立ちと抜群のスタイル、彫刻のようなビジュアルを持つ尚玄(しょうげん)さん。沖縄県で生まれ育ち、大学進学のために上京。在学中にモデルとしてデビューを果たし、俳優へと活動を広げていきました。現在、主演映画『赦(ゆる)し』が公開中。尚玄さんは、クラスメイトに娘を殺され、悲しみに暮れる父親を演じます。尚玄さんが役と向き合う中でもっとも重視するのは、「リアリティー」。難しい役どころをどう表現するのか、共演者のMEGUMIさんとの思い出深いエピソードなど、じっくり語っていただきました。

役づくりのため、キープしていた“ボクサー体型”を捨て10キロ増量

 尚玄さんの最新主演作は、全国で順次公開中の映画『赦(ゆる)し』。女子高校生がクラスメイトに殺害されるというショッキングな事件を背景に、ひとり娘の命を奪われた両親、そして犯人の苦しみと葛藤を描いた話題の作品です。尚玄さんは突然、娘を失った日から7年間、酒におぼれ現実逃避を続ける父親役を演じています。

──尚玄さんが演じた「樋口克」は、悲しみに打ちひしがれる男。現実から目を背けるその姿に、情けなさを感じたりもします。一方でMEGUMIさんが演じた元妻は、新しい生活をスタートさせ前を向いている女。対照的な2人の姿が印象的でした。ですが見ているうちに、この夫婦のあり方やそれぞれの気持ちが理解でき、さらには松浦りょうさん演じる犯人のことまで理解したいと思えるような、不思議な気持ちになりました。

「犯人は罪を犯した当時は女子高生で、学校にも家庭にも居場所のないような子でした。懲役20年の刑を言い渡された彼女に、再審の機会が与えられることから本作は始まりますが、たとえ刑期が短くなっても、罪を犯した事実は変わらない。彼女の人生はやり直しがきかないことを本人がわかっていて、その思いが観客のみなさんに伝わるのではないかと思っています。元妻は強い女性に見えますが破綻していく様(さま)を描いているので、そこも見どころといえますね

娘の遺影を抱き法廷に臨んだ、尚玄さんが演じる樋口克。目の奥には深い悲しみを感じさせる (C)2022 December Production Committee. All rights reserved

──役づくりについて教えてください。ヒゲだらけの顔を見ただけで、普通の生活はしていないと思えました。あの姿はご自身のアイデアですか?

最初に監督から1枚の写真が送られてきて、“こういうイメージで樋口克という男を演じてほしい”と言われました。僕の顔などが勝手に加工されていて、ひげがついている写真だったんです(笑)。監督の中に明確にある主役像だったので、近づくために10キロくらい体重を増やしました。アルコール依存症の患者さんは痩(や)せ型の人も多いので、そっちのほうが僕に近いんじゃないかと伝えましたがダメでしたね。僕は映画『義足のボクサー GENSAN PUNCH』でボクサーを演じた以降も、プライベートでボクシングを続けていました。ボクサー体型をある程度維持できていたのに、役のために対極のことをやり、増量したんです。作品同士ですごく落差がありました

“人を赦すこと”とはどういうことか? 自分の心に問いかけてほしい

──メガホンを取ったのは、日本在住でインド出身のアンシュル・チョウハン監督。主役を演じることになった流れなど教えてください。

「監督は以前からの友人です。実は、監督の別作品への出演が決まっていましたが、コロナ禍で流れてしまいました。それなら企画から一緒に作ってみようということになり、企画を4本送ってくれたのですが、その中で僕がいちばんやりたいと思った作品が、この『赦し』。もっともつらい役どころでしたが、自分を成長させてくれると思えたんです。

 '22年に公開した『義足のボクサー GENSAN PUNCH』は構想から8年かけて取り組み、長年の夢だといえる作品でした。公開されて夢が叶(かな)い、次はどういう作品に自分をぶつけたらいいのかと悩み、抜け殻のような状態が続いていたんです。そんな中、挑戦してみたい作品にやっと出合いました。ここ数年のコロナ禍は、誰もが疲弊した時期だったと思えます。過ちを犯した人に対してSNSなどを使って匿名で批判する状況が目についたとき、“人を赦すこと”とはどういうことかと自分なりに深く考えました。本作の脚本をもらったのはちょうどそのころ。自分の家族が同じ目にあったら加害者を赦せるかと考えると、赦す自信はありませんでした。なので主人公である克を演じ、その先にある何かを見たくなりました

──話が進むに連れ、どんどん心を揺さぶられる作品です。

本作のテーマは相手の立場になって考えること。他人を想像することだと僕は思っています。被害者の家族として加害者に対面し、究極の選択を強いられる克を演じるうえで、さまざまな学びがありました。克に共感する人、加害者に共感する人、見た方それぞれだと思います。ニュースを見たときなどは被害者側の思考で事件をとらえるのが一般的だろうと思いますが、本作を見てどうだったのか。自分の心に問いかけてもらえたらうれしいです

最愛の娘を殺した犯人と対峙したとき、克は何を思うのか── (C)2022 December Production Committee. All rights reserved
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