日本独自の技術が光る、解体現場の魅力

──4月からは田中さんが出演する『解体キングダム』(NHK総合)のレギュラー放送が始まりました。今の田中さんに最適な番組ですね。

「その名のとおり解体現場に行く番組なんですけれど、今って高度経済成長期に建てられた建物の解体ラッシュなんだそうです。建てた当時は解体することまで考えていたわけではないので、建物を解体するときは試行錯誤の連続らしくて、その都度、新しい解体方法が発案されてるんです。そんな解体の裏側に迫った番組です

──まだ始まったばかりの番組ですが、印象的だった解体現場はありますか?

大阪の阪神高速道路です。老朽化した高速の一部を架け替える工事なんですが、下は交通量の多い一般道が走っているので、絶対に交通は止められないという環境です。そこで編み出されたのが『オーバー・ザ・ブリッジ工法』という、高速道路の上に解体用の足場を設置して上から道路の一部を切断する方法です。切断した道路を下に降ろすことなく、そのまま回収する世界初の工事方法で驚かされました。

 解体が発生するたびに関係者を集めてみんなでアイデアを出し合い、専用の重機まで用意するという、かなり大がかりなプロジェクトになるそうです」

田中道子さん 撮影/松島豊

──日本は住宅が密集しているうえに、耐震基準が高く頑丈に作られているから、海外のように簡単に爆破できないと聞いたことがあります。

「先日の『解体キングダム レギュラー放送直前SP』でも紹介しましたが、私がおもしろいと思ったのはガスタンクの解体方法です。『リンゴ皮むき工法』という特許も取得している方法で、リンゴの皮をむくように上からタンクを切っていくんです。そうすると鉄板が自重でタンクの内部に落下していくので、切断したパーツを運ぶ時間が省けて人手も時間も削減できるみたいです。思い浮かびそうで思い浮かばなかった、おもしろい方法ですよね。日本のように土地が狭い国では、解体方法も独自の進化を見せていて本当に興味深いです。でも、こんなマニアックな番組がゴールデンの時間帯に毎週放送されても大丈夫なのか、ちょっと心配ではあります(笑)

──『タモリ倶楽部』の終了を悲しむファンは多いので、そういった層には受け入れられると思いますよ。

「そうかも! マニアのみなさんが喜ぶようなうんちくネタをたくさん紹介していきたいですね」

田中道子さん 撮影/松島豊

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 インタビュー後編では、田中さんがひそかに抱く足湯カフェの展望や、街づくりの視点から考える「新しい時代のコミュニティのあり方」について伺います。どうぞお楽しみに。

(取材・文/松山タカシ)

〈PROFILE〉
田中道子(たなか・みちこ)
1989年8月24日生まれ、静岡県浜松市出身。静岡文化芸術大学卒。大学卒業後に二級建築士の試験に合格するが、就職活動中に現事務所にスカウトされ女優の道へ。'16年放送のテレビ朝日系『ドクターX~外科医・大門未知子~』を皮切りに多数の連続ドラマに出演。現在、『プレバト!!』(MBS・TBS系)、『みんなのKEIBA』『馬好王国~UmazuKingdom~』(ともにフジテレビ系)などに出演中。4月よりレギュラー出演するNHK総合『解体キングダム』(毎週水曜19:57〜)の放送がスタート。