独学のこぎん刺しを人に教えるようになるまで
この作業の繰り返しで、独学でこぎん刺しを学んだ高木さんは、弘前などでこぎん刺しの普及に尽力していた前田セツさんが東京で教室を開いていることを知り、約6か月通って、自ら身につけた技術を再確認した。
そのころ、千代田区から「区民に教えてほしい」と依頼を受け、こぎん刺しに興味を持った看護師からも、「うちの病院内でも教えてほしい」と声がかかることに。高木さんは会社員を続ける傍ら、こぎん刺し講師として人に教えるようになっていった。
「そのあと、NHKカルチャーセンターからも声がかかって、教室を開くことになりました。今でも東京や名古屋、神戸などで教室を続けています」
NHKカルチャーセンターでは当時、日本の文化を伝えるために、毎年のようにヨーロッパ各地で「日本文化祭」というイベントを行っていた。高木さんにも声がかかり、たくさんの作品を作ってヨーロッパ各地に赴き、作品を発表したり、現地でこぎん刺しの教室を開催したりした。
「1年に2回はヨーロッパに行っていました。たくさんの作品を持っていって、それを行った国に全部あげてくるから、帰りは毎回手ぶら。私が作った作品はフランスの国立近代美術館やルーヴル美術館にも収蔵されているようです」