防音でなく、相手との関係づくりに注力を
橋本代表いわく「この時代、音の苦情を言われたら、それは煩音と思ったほうがいい」。
人里離れた場所に建つ「ポツンと一軒家」でもない限り隣人は必ずいるものだし、子どもは遊んで騒ぐのが仕事のようなもの。
では、そんな現実の中、煩音でトラブルにならないためにはいったいどうすればいいのか?
「初期対応、つまりは挨拶とルールづくりが何よりも大切です。小さな子どもがいるのなら子どもを連れて挨拶に行き、“夜の●時以降は騒がせないようにしますが、粗相があるかもしれません。その場合はどうかご勘弁を”と挨拶するだけでも効果があります」(橋本代表)
ちなみに橋本代表によると、長い期間、空室だった部屋への引っ越しは格段に注意が必要とのこと。
「今までずっと静かだった空間に突如として音が発生するわけです。誰であっても面白いわけがありません。夜間のちょっとした音や許容範囲内の音であったとしても、下階に住む人には煩音になってしまいかねません」(橋本代表)
苦情を言われたら、その瞬間が相手との人間関係づくりのスタートと思うべし。挨拶はもちろん、立ち話など、日ごろから意識してコミュニケーションを取るようにしたいと橋本代表。
「常にあなたの存在を気にかけています」といったコミュニケーションが有効だ。
ちなみに煩音問題は個人対個人はもちろん、公共施設等がその解決に長年頭を抱えている問題でもある。こうした公共施設では、どうやって煩音問題を解消しているのか?
橋本代表によれば、例えばテニス部の練習が「うるさい」との苦情を受けた山形県の高校では、生徒が冬場、近所の雪かきボランティアを申し出た。ある保育園では年末になると餅つき大会を行い、近隣住民を招待するとともに、来られなかった住民には後日、園児が餅を持参したという。
前者のボランティアでは多くの高齢者から感謝の声が殺到、同時に苦情がピタリとなくなった。保育園の近所でも、年末の餅つきを楽しみにしているとの声が上がっているという。
「雪かきボランティアしかり、餅つき大会しかり。施設対個人でも個人対個人でも、こうした地域コミュニケーションのあるなしが、煩音問題の分かれ道になるのです」(橋本代表)