55歳になってもなお、自分の成長を感じられる

──いまは歌手活動に専念されて、二足のわらじで活動していたころと比べると、歌への向き合い方も変わったんじゃないですか?

「そうですね。歌手活動一本に絞ったことで、そこから逃げられなくなりました(笑)。聴かせる努力を怠れば、仕事がゼロになってしまいますから。そのために、歌手としての自分の魅力を分析して“足りないところは補い、よいところは伸ばしていく”ということを追求しなければなりません。

 僕は音大も出てないですし、ボイストレーニングを受けてこなかったので、自分にとって指針となるものがないんです。

 いかにして歌唱力を伸ばしていこうかと考えていたときに、由紀さおりさんから『童謡唱歌』のコンサート出演のお誘いをいただいて、安田祥子さんとともにステージに立たせてもらっています。

偶然都内の病院で、初対面の由紀さおりさんが声をかけてくれたのがきっかけだったという

 そこでおふたりからご指導いただき、歌唱力を鍛えるチャンスにも恵まれ、自分の歌の魅力を客観的に見つめ直す機会にもなりました。『童謡唱歌』は、ポップスの歌い方とまるで違います。

 僕は熱唱系の歌い方が得意なんですが、由紀さんと祥子さんが大切にされる『童謡唱歌』は、そういった自分のクセを極力殺して、小さな声でキレイに歌います。

 これが非常に難しいんです。100回、200回練習しても“木山さん、まだできていない”と、何度もダメ出しされるんですが、それが勉強になっています。

 歌に関して無限の課題が広がった感じです。『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)も、僕の歌に対する向き合い方を変えるきっかけになりました。実は、一度出演を断ったんです」