いちばん見られる顔のパーツは「目」と「口」
──「顔を見られるのが恥ずかしい」とのことですが、人は、主に顔のどの部分(パーツ)を意識して見ているのでしょうか。
「人がすぐに目にしてしまうのは、“動くもの”です。例えば、最近街中にある看板がデジタルサイネージになって動くようになり、通常の看板広告よりも、明らかに目に留まることが多くなったはずです。
人の顔もいちばん動くパーツに目が行きます。いちばん見られることが多いのは、まず“目”です。目は普段から瞬きをしますし、感情が現れたときに大きく開いたり、細めたりするはずです。眉毛も目とともに動くので、目に留まります。
以前、製薬会社と一緒に研究したときにわかったのは、9割以上の人が、他者をまず最初に確認する部位が、やはり“目”でした。
次に見るのは、しゃべるときに動かすことが多い“口元”です。口をしっかり開いてしゃべる人は、口と同時に頬も動かすので、そこも見られます」
この結果を見ると、他人からよく見られる“口”などのパーツをマスクで隠したがるのも、無理のないことかもしれません。
「でも、他の顔のパーツを意識して見せることで、過度に口元に注目されず、好印象を与えたり、ポジティブな雰囲気を感じさせることもできる」と、美有姫さんは言います。
コンプレックスに注目されず、好印象を与えるには?
──そのパーツは、いったいどこなのでしょうか。
「それは“おでこ”です。“童顔に見せたいからおでこを隠す”とか“しわが気になるから隠す”という人がいるんですけど、目や口ほどは見られていません。それに、おでこを隠すことで、“隠し事をしている”とか“自信がなさそう”というイメージがついてしまいます。
そこで“眉間”と言われる、おでこの真ん中の部分を見せると、自信や社交性のある雰囲気、そして“相手に心を開いている”という印象を与えることができます。そのため、就職活動はもちろん、接客業でも、好印象を与えたい場面や職業に就く人は、おでこを見せることが一般的になっています」
──もうひとつ、「他者との円滑なコミュニケーションに欠かせない“口元”をマスクで隠すことで“損”をしている」と、美有姫さんは言います。
「マスクを外すと、白い歯による爽やかさや声のとおりと、 隠れていた頬の肉の盛り上がりなどが確認できます。特に頬の持つ力はすごく、ニューヨーク大学の研究ではたった1/300秒(シャッタースピードほどの速さ)で、頬が盛り上がっている人を信頼してしまう研究結果もあります。
頬を隠すことで、信頼してもらえる機会を逃すリスクに、早く気がつくべきだと思います」