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若い世代や海外からも注目されている昭和ポップス。本連載では、'80年代をメインに活動したアイドルの『Spotify』における再生回数と当時のCD売り上げをランキング化! データから過去・現在のヒット曲を見つめ、さらに、今後伸びそうな“未来のヒット曲”へとつながるような考察を、歌い手本人や関係者への取材を交えながら展開します♪

音楽

石川さゆり、紅白で歴代最多13回歌唱の「天城越え」レコード売上は低迷し「早く新曲を出せと怒られていた」

SNSでの感想
石川さゆりさん。終始、朗らかにインタビューに答えてくれた
目次
  • “石川さゆり=演歌”のひと言ではとても片づけられない、多彩な活躍
  • 「天城越え」実はセールスでは大苦戦していた! 発売に至ったワケは
  • 時代を超えて愛される名曲に。「天城越え」は進化し続けている
  • 「津軽海峡・冬景色」、最初の紅白出場時は着物ではなくドレスだった
  • 「ウイスキーが、お好きでしょ」はクレジットなしでCMで流れていたが……
What's「未来へつなぐ昭和ポップス」?

 今、若い世代からも、また海外からも熱い注目を浴びている昭和ポップス。昨今では、音楽を聴く手段としてサブスクリプションサービス(以下「サブスク」)がメインで使われているが、必ずしも当時ヒットした楽曲だけが大量に再生されているわけではなく、配信を通して新たなヒットが生まれていることも少なくない。

 そこで、本企画では1980年代をメインに活動した歌手・アイドルの『Spotify』(2023年4月時点で4億8900人超の月間アクティブユーザーを抱える、世界最大手の音楽ストリーミングサービス)における楽曲ごとの再生回数をランキング化。当時のCD売り上げランキングと比べながら過去・現在のヒット曲を見つめ、さらに、今後伸びそうな“未来のヒット曲”へとつながるような考察を、本人または昭和ポップス関係者への取材を交えながら進めていく。

“石川さゆり=演歌”のひと言ではとても片づけられない、多彩な活躍

 今回は、1973年3月にシングル「かくれんぼ」でデビューし、活動51年目となる2023年4月に通算132作目となるシングル「約束の月」を発表した石川さゆりNHK紅白歌合戦には紅組最多となる45回の出場を果たしてきた石川は、まぎれもなく日本を代表する演歌歌手と言えるだろう。

 しかし、実際にはロックバンドでも活動する椎名林檎、ラッパーのKREVA、さらには東京スカパラダイスオーケストラなどさまざまなJ-POPアーティストとコラボしたり、今年3月に発売したアルバム『Transcend』では、ジャズのビッグバンドや大編成オーケストラでのアレンジで過去のヒット曲を大胆に歌い直したりと、“石川さゆり=演歌”のひと言では済まされないほど、その活動はあまりにも多彩だ

意欲作のアルバム『Transcend』のジャケット写真。真紅の衣装が眩しい!

 そんな石川のSpotifyにおける月間リスナーは'23年4月現在13万人。ちなみに、'22年末から'23年始には20万人前後で、やはり、“紅白”の季節に欠かせない存在なのだろう。本人に、ストリーミングサービスについて尋ねたところ、

「まだ使えていないんです……。私は、必要な音源があれば、スタッフのみんなに、“これ聴きたい! あれ聴きたい!”と、お願いしちゃうので(苦笑)」

 とのこと。しかし好奇心旺盛な石川のことだ、いずれ新たなコラボ先を、ストリーミング発のスターからも見つけそうな気がする。では、さっそくSpotifyの順位を見ていこう。

「天城越え」実はセールスでは大苦戦していた! 発売に至ったワケは

 Spotify第1位は'86年のシングル「天城越え」で、『NHK紅白歌合戦』では歴代最多の13回も歌唱されている楽曲JOYSOUNDが発表したカラオケ30年間ランキング('92-'22)においては、昭和の楽曲としては尾崎豊「I LOVE YOU」、岩崎良美「タッチ」に続いて第3位、つまり“演歌”に分類される中では歴代トップとなる超定番曲。また、イチロー選手が大リーグ時代に“いろいろなものを越えたい”という思いから、打席登場曲に起用したことも話題となった。

 しかし、この誰もが認めるヒット曲、当時はセールス面で大苦戦を強いられた作品。その年の『紅白』のトリで歌唱したことで多少売り伸びたものの、それでもオリコン最高46位、TOP100内での期間中の売り上げは5万枚に届かず、レコードだと石川さゆりの中ではなんと26番目のヒットなのだ。

 ちなみに、この前年には「波止場しぐれ」の売り上げが約13万枚、その翌年には「夫婦善哉」が約20万枚。当時はカラオケでも歌いやすい、穏やかな曲調の演歌を歌えば、オリコン最高30位前後で確実にロングヒットするという地位を築いていたのだ。

 それにもかかわらず、なぜこのドラマティックかつダイナミックな楽曲を発売することになったのだろうか。

(当時の売れる路線は)確かにありましたね。でも、作詞家、作曲家の先生方、ディレクター、そして私も、“もうひとつ別の石川さゆり”を作ろうと、これまでやったことのない世界を頑張ってみました。

 でも発売したら、レコードがまったくと言っていいほど売れなくて、当時の事務所の方からは“ダメじゃないか! 早く新曲を準備しろ!って言われて(笑)。でも、現場のチーム内では、“いや、この歌は、とても意味があるんだ”という思いでした。NHKのスタッフの方たちも、“この歌を紅白で歌ったらどうなるのか”、というのを描いてくださったんでしょうね。そうしたら、年が明けてからすごく動き出した感じでしたね

時代を超えて愛される名曲に。「天城越え」は進化し続けている

「天城越え」は、レコードのほうは96位での登場から最高74位どまり、1万枚以下でいったんチャート圏外になりつつ、年末の賞レース時期に話題となりTOP100に再浮上し、『紅白』歌唱後、46位まで上昇した。さらに有線放送では、年間36位と、 '80年代の石川にとって最大のヒットに。それが、時を経てカラオケでも愛唱されるようになっていったのだ。当初、ほとんど売れなかったシングルを『紅白』で、しかもトリで歌ってもらおう、というNHKサイドも大英断だったと言えるだろう。

 ちなみに、これまで『紅白』で13回披露されている「天城越え」、お気づきの方も多いだろうが、実はギタリストの布袋寅泰がゲストで登場したり、アニメ『鬼滅の刃』の音楽担当である椎名豪とコラボしたり、毎回、さまざまな趣向が凝らされている

「同じ歌を同じアレンジで歌うだけでは、“今年1年、石川さゆりは何をやっていたんだ”って叱られるでしょうし(笑)、スタッフのみなさんと、演出も含めて音楽を一緒に考えています」

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