1003
「1日1フム」生活。- フムフムニュース -
fumufumu news サイト休止のお知らせ
音楽

石川さゆり=演歌、の分類に本人は違和感? 50周年記念アルバム視聴会で明かした熱い胸の内

SNSでの感想
『Transcend』視聴会にて本作への熱い思いを語る石川さゆりと内沼映二
目次
  • 人気曲「ウイスキーが、お好きでしょ」「風の盆恋歌」の仕上がりは鳥肌モノ!
  • 石川さゆり、録音は今でも“一発録り”。「心やさしく音楽を聴いてもらえたら」
  • 「音楽に“NG”はない」と語る石川、何を歌っても演歌に分類されることに違和感

 2023年、デビュー50周年を迎えた石川さゆりが、記念アルバム『Transcend』を発売した。本作では、これまでのキャリアを代表する作品のうち6曲を、ジャズのビッグバンドやクラシカルなストリングスにてリアレンジ(編曲は斎藤ネコ、船山基紀、村田陽一が担当)。さらに、石川さゆりが演奏に合わせていずれもワンテイクで収録した超意欲作となっている。

 しかも本作は、レコーディング界の巨匠と言われる内沼映二がこだわり抜いた最高音質で録音し、2月15日の通常盤CDのみならず、3月1日にはアナログLPを、さらに3月31日にはSACDを発売するという徹底ぶり。昨今は、ストリーミングサービスにて手軽に幅広い楽曲に触れることが主流となっているが、同時にこうした高音質のCDやアナログ盤にも注目が集まっており、本作は明らかに後者のニーズを徹底的に究めた作品と言えるだろう。今回、内沼が本拠地とするミキサーズラボにて、その試聴会が行われるので実際に体験してきた。

『Transcend』のジャケット。鋭いまなざしに引き込まれる

人気曲「ウイスキーが、お好きでしょ」「風の盆恋歌」の仕上がりは鳥肌モノ!

 まず、内沼から技術面について説明がなされた。ジャズのビッグバンドで演奏された「津軽海峡・冬景色」「ウイスキーが、お好きでしょ」「天城越え」の3曲は、演奏音が飽和しないようにVictor 301 Studioにて、またストリングスアレンジの「風の盆恋歌」「人間模様」「朝花」の3曲は、弦楽器の響きを考慮してBunkamura Studioにて、それぞれレコーディング。

 またCDには、アナログ盤をプレスする際のもととなるラッカー盤から変換したマスターサウンドを採用。ラッカー盤には、倍音成分が通常のCDよりも多く入ることで「カドが取れて、なめらかでツヤのある音」となり、癒しの効果が高まるという。

 ここで「ウイスキーが、お好きでしょ」と「風の盆恋歌」の2曲を試聴。

「ウイスキー~」のほうは、リズムが一定ではなく微妙に変化している様子や、それに合わせて石川の歌声が、ときに弾むように、ときに揺れるように呼応していることが手に取るように伝わってくる。まさに、超人的でありながら人間にしかできないパフォーマンスのように感じた。また、「風の盆恋歌」は、1コーラス目、ほとんどアカペラで歌っているところにストリングス隊が入ってくるのだが、石川のコブシ回しやブレスもクリアに聴こえるし、弦楽器が一気に押し寄せてくるさまも鳥肌が立つほどにリアルだ。いずれも、大会場でのコンサートを聴くような臨場感に圧倒される。

石川さゆり、録音は今でも“一発録り”。「心やさしく音楽を聴いてもらえたら」

 その後、同席していた石川から今回の企画についてコメントがあった。

昭和から平成に代わったころ、レコードからCDとなり、“上の音(高音域)も下の音(低音域)も聴こえない”この感じは何だろうとずっと思っていました。もう昔の音は聴けないのかなと思っていたら、最近は若い方もアナログ盤を求めているようで安心しました。そんなときに、さらにアナログ盤のよさを追求した企画を提案されてトライすることに。私は、同時録音の最後の名残りで、今でも“一発録り”。(演奏と歌の)別録りも試してみるものの、結局、採用されるのは同時録音のほうなんです(笑)。

 人の感情が高揚したり重なったりするこの作品を、ひとりでも多くの方に共有してほしい。心やさしく音楽を聴いてもらえたら、それが幸せや平和につながると思います

 続いて、ジャズアレンジの「津軽海峡・冬景色」と、ストリングスでの「朝花」を試聴。さながら横浜あたりの港が見えるオシャレなバーに滞在しているかのような装いで、ピアノが一音ずつ跳ねるように演奏されるのも聴きとれるし、石川の歌声も、演奏に合わせてどこかけだるい。原曲と本作、どちらのバージョンが優れているとかではなく、どちらも見事だ! また「朝花」のほうは、奄美三線の優しい音も、石川の ♪ハイハイ ハ~レイ ヨイサヨイ~ と高音に突き抜けるボーカルも、独立しつつ融和する感じが郷愁を誘う。

読み込み中
LINE Twitter facebook hatena pocket copy