1位曲「Summer Beach」は海外人気が圧倒的。尾崎亜美の手腕にも注目
では、ここからSpotifyのランキングを見てみよう。第1位は、'85年の5thシングルである「Summer Beach」。'23年4月下旬には200万回再生を突破し、ダントツ人気の本作は、なんと約9割が海外からのアクセスとなっている。しかも、国別で見ても1位はアメリカ、2位が日本、3位がインドネシア。確かに、オシャレで明るいサウンド、安定感のあるボーカルなどは、親しみやすいアイドルポップスというよりも、洗練されたシティポップの雰囲気が漂っている。
「ここまで海外のリスナーに支持されているのは、作詞・作曲を担当した尾崎亜美さんの音楽性も関係しているでしょうね。才能にあふれていますから。亜美さんは洋楽・邦楽問わず人の曲をあまり聴かないらしいのですが、楽器やミュージシャンを選ぶセンスが卓越しているんですよ。きっとどこかで海外の血縁があるんじゃないかって思っていました(笑)」
尾崎亜美は他にも、杏里「オリビアを聴きながら」や松田聖子「天使のウィンク」などの提供曲が国内外で人気だが、自身が歌った'81年のアルバム『Air Kiss』に収録されたポップな楽曲「純情」も再生回数190万回以上('23年4月末現在)と、こちらも海外リスナーに大人気だ。
國吉が担当を掛け持ちしていたことから、尾崎亜美への楽曲依頼自体は自然な流れだが、それにしてもこの「Summer Beach」、サウンドは爽快であるものの、今の恋人といるのに、昔の恋を忘れようとしている歌詞がどこかちょっと切ない。その微妙な状況を、岡田が絶妙なバランスで歌っている。
「有希子ちゃんには、どの作家さんからも“キャピキャピ”とか“ランラン”というイメージのアイドルソングは送られてこなかったですね。どこか翳(かげ)りがあったり、深みがあったり。みんな彼女の可愛いけれどミステリアスな部分に惹かれていたからじゃないでしょうか。ただ、コアなファンの中には、例えば第15位にある『そよ風はペパーミント』(作詞:田口俊、作曲・編曲:大村雅朗)のような全面的に明るい歌が好き、という方も多いみたいですよ」