高比良くるまさんと松井ケムリさんからなる漫才コンビ・令和ロマン。慶應義塾大学のお笑いサークルでコンビを結成し、2018年にはNSC(吉本総合芸能学院)東京校を首席で卒業(23期生)。
プロとしては今年で芸歴6年目の若手ですが、これまで『第7回NHK新人お笑い大賞』大賞を受賞しているほか、『第43回ABCお笑いグランプリ』準優勝など、輝かしい成績を残しているおふたり。
さらに、2023年の『上方漫才大賞』では、関東のお笑いコンビながら新人賞にノミネートされる偉業も成し遂げています。
そんなふたり、世間的には『M-1グランプリ2022』敗者復活戦でのドラえもんのネタも記憶に新しいところ。SNSではネタに登場したワードがトレンド入りし、大いに話題となりました。
そこで、今回は令和ロマンをより詳しく知るためのインタビューを実施。前編では、大学時代を中心に、これまでの道筋とお笑いとの向き合い方を探ります。
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いじめられそうだったから、お笑いで武装した
――まずは、おふたりがお笑い好きになったきっかけを教えてください。
松井ケムリ(以下、ケムリ):わかりやすいところだと『エンタの神様』(日本テレビ系)かな。小学校高学年になるころには見ていました。で、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)『爆笑レッドシアター』(フジテレビ系)という、僕らの世代の王道ルートをたどっていました。
高比良くるま(以下、くるま):僕はそのへんの番組はあまり見ていなくて、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)ばかり見ていました。僕、早めに完成していたタイプの子だったんです。たまたま入った幼稚園が当時はまだ珍しかったスーパー幼稚園で、小学校に入学するころには、漢字も九九もできていたんです。それに家庭環境があまりよくなかったし、客観的に「僕、いじめられちゃうな」と思ったんですよね。
――家庭環境というと……?
くるま:そんなに言える話ではないですが、やんわり言うと周りと違いました。地元で“ちょい目立ち”していたというか。
ケムリ:悪目立ちでしょ? ちょい目立ちだと、いい意味で目立っている可能性あるけど。
くるま:いやいや、ちょい目立ちだから。そう言っておかないとみんな引いちゃうからね? まぁ、大げさに言うと「あの家の子と遊んじゃいけませんよ」と言われそうだなと肌感覚でわかったんです。年長さんぐらいのときに、親の離婚や再婚で苗字が変わっていたし、“何かイヤな予感がする”“みんなが気づき始めたらヤバそう”と。
だから、いじめられないようにするにはどうしようかと考えていたときに、さんまさんが『踊る!さんま御殿!!』でめっちゃしゃべっているのを見て。“そうか、こうやって先に倒そう”と思ったんですよ。やっぱ、さんまさんっていじめられないためにしゃべっているんで。
ケムリ:絶対そんなことないよ。
くるま:先に攻撃してるんだよ、あれ。
ケムリ:違うって(笑)。
くるま:さんまさんって、いじる隙がないぐらい自分でしゃべるじゃないですか。あのファイトスタイルをお手本にした感じです。あとは、とんねるずさんやビートたけしさんもそう。いまのダサい言葉でいうと、パワハラお笑いみたいなものを実践して、自衛しようと思っていました。だから、ネタよりもトーク番組を見ていましたね。
――だいぶ達観していますね。
くるま:そこからは成長していないんですけどね、僕。年長くらいでピークを迎えて、あとはずっとキープしているだけなんで。(ケムリを見て)だいたい一緒でしょ?
ケムリ:だいたい一緒だね。僕も小学校に入学したころは、どれだけ多くのダンゴムシを集めるかに必死だったので。だいたい一緒っす!