「実は植草以外にも、いろんな場所に“『あずさ2号』仲間”がいるんですよね」

 5曲目は植草克秀とデュエットをした「あずさ2号」。原曲は、1977年3月にリリースされた狩人のデビュー曲で、男性デュエットの超定番曲と言えるだろう。ちなみに、本アルバムはストリーミングでも4月末から配信されているが、約4週間がたった時点で、Spotifyでは「あずさ2号」が2位以下にダブルスコア以上の差をつけての人気となっている。少年隊ファンによる支持や、さらには前年末の錦織と植草によるランチタイム&ディナーショー『ふたりのSHOW&TIME』での歌唱が報道されたことで、気になった人も多いのだろう。

「えっ、この曲、そんなに人気なんですか? これは昔から打ち上げなどの席で、植草とシャレのつもりでよく歌っていました」

 確かに『ふたりのSHOW&TIME』では、サビに向かう手前で錦織が「ジャカジャカジャカ」と口で演奏を歌ってみせるなど、まるで宴会芸のようにノリノリな様子が会場を沸かせていた。そして、狩人の曲には特別な思い入れもあるようだ。

ジャニーズ事務所に入所して最初にさせていただいた仕事が、狩人のコンサート内の寸劇で、おふたりの小学生時代を演じる役だったんです。兄弟げんかのシーンをやりました。東京公演の会場は中野サンプラザでしたが、自分にとっての初・サンプラザは、狩人のコンサートなんです。僕は、フォーリーブス解散の1年前に入って、解散してから稼いでいたのは(川﨑)麻世くんだけだったから、当時は外部の仕事もやっていたんでしょうね。僕としては、狩人の2ndシングルだった『コスモス街道』のほうが好きだったんだけど、今回は、植草も知っている『あずさ2号』を選びました。ヒガシ(東山紀之)はハモってくれないから、彼とのデュエットはしません(笑)

 さらに、錦織からは、「ここ、書いておいてください(笑)」と以下の内容を強調された。

「実は、いろんな場所に“『あずさ2号』仲間”がいるんですよ。僕と一緒に絶対、この曲を歌いたいという人たちが。その中のひとりが、『坊っちゃん団子』を売っている『うつぼ屋』の伊狩詩朗社長。彼とのほうが昔からデュエットしていたのに、CDでは植草と歌っているから、みんな怒っていないか心配です(笑)」

 なお、『あずさ2号』は、こだわって5曲目にしたという。

5曲目はアナログレコードで言えばA面の最後だから、ここで元気が出るようにしようという思惑もあるんですよ。とはいえ、今回はアナログ盤の発売予定はないですね。前のEP(『Cafe Uncle Cinnammon』)は、サウンド・プロデューサーの西寺郷太が“アナログも作れ、作れ”ってうるさかったんですよ(笑)。あいつはジャケットの紙質とか、何でもこだわりますからね」

 だからこそ、錦織とウマが合っているようにも思えるが(笑)、本作の大人な仕上がりはアナログ盤で発売されても話題になりそうな気がする。

錦織の軽妙なトークを聞いていると、時間がたつのをついつい忘れてしまう 撮影/伊藤和幸