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ドラマ・映画・舞台

工藤遥、“いちばん目立ちたかった”ころを経て生まれた心の変化「ヒロインよりも嫌なヤツを演じることが貢献できる」

SNSでの感想
今回お話をお伺いした工藤遥さん 撮影/松島豊
目次
  • 『逃げきれた夢』のオーディションで娘の由真役をつかむ
  • 父親とはふたりで映画を一緒に見に行くほどの仲
  • 結果よりも作品のために自分がどう貢献できるかを考えるように

 光石研が12年ぶりに、映画単独主演を務めることでも話題の映画『逃げきれた夢』。人生のターニングポイントを迎えた男が、新たな一歩を踏み出すまでの日々をつづった、生々しい人間ドラマが描かれています。

 北九州の定時制高校で教頭を務める末永周平が、元教え子や家族、友人との関係性を通して、これからの人生をどのように見つめ直していくのか。

 本作で周平の娘・由真を演じるのが、映画『のぼる小寺さん』(2020年)で初の主演を務め、映画『461個のおべんとう』(2020年)や『樹海村』(2021年)、ドラマ『ブラザー・トラップ』(TBSテレビ)など、数多くの作品に出演している工藤遥さん。

 元アイドルという経歴を忘れてしまうほど、存在感のある演技で、いま注目を集めています。そんな工藤さんに映画での役作りのお話から、ソロ活動をスタートさせて変化した演技への向き合い方などをお聞きしました。

透明感のある彼女。今回の取材中でも、さまざまな表情を見せてくれた 撮影/松島豊
愛くるしい表情が、また魅力のひとつだ 撮影/松島豊

◇   ◇   ◇

『逃げきれた夢』のオーディションで娘の由真役をつかむ

──今回は、どのような経緯で出演することが決まったのでしょうか?

 この作品には、オーディションに参加させていただいて、末永由真という役を演じることが決まりました。オーディション現場では“参加者みなさん個々の魅力があるからこそ、集まっているんだな”という印象を受けたので、私も無理に演じようとせずに、等身大でいることを心がけて挑みましたね。

──オーディションでのエピソードや、裏話があれば教えてください。

 監督に何にもテーマを与えられずに「ケンカしてほしい」とだけ言われたことが、印象に残っています。

 具体的には「女の子ふたりがケンカをしているイメージで、アドリブ芝居をやってください」と言われたのですが、“誰かの彼氏を取ったとか、好きな人がかぶったとか、浮気や不倫はなし”という制限があったので、それ以外でどうやったらケンカができるだろうと考えて、急に思いついたのが“30万円ほどする高級なマウンテンバイクを、誤って盗んでしまった”という設定でした。

 というのも、そのときにちょうど舞台をやっていて、共演した男性陣が自転車の話題で盛り上がっていたんです。話を聞くと、マウンテンバイクに30万円以上もかけているそうで、2、3万で買えるものだとばかり思っていた私にとっては衝撃で。

 それをオーディションで話してみたら通ったので、監督には面白がってもらえたのかなと思いますね(笑)。

──そのことに関して、二ノ宮(隆太郎)監督からは何か言われましたか?

 後ほど「なぜあのとき、あの話をしたんですか?」と言われました。監督からは「めちゃくちゃ面白かったです」と言ってもらえたので、役者それぞれの人間性や面白さを、すごく重視してくださる方なんだなと改めて思いましたね。

──二ノ宮監督には工藤さんの人間性が刺さったんでしょうね。

 そうなんですかね……。いまでは突飛な話をしてしまって、本当に申し訳ないなと思ってはいるんですけど、あれがなかったらいまこうして参加できてないと思うと、やってよかったなと思っています。

工藤遥さん 撮影/松島豊
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