少年隊・錦織一清、新アルバム売上がネットより実店舗優勢で“令和の常識”と逆転！ カバーした西城秀樹への思いも熱く

パパイヤ鈴木との新ユニット、結成のきっかけは“怖いお姉ちゃん”!?

　そしてファンキーといえば、今夏には、錦織一清とダンサーで振付師でもあるパパイヤ鈴木との新ユニット　Funky Daimond 18が始動し、全国5公演が予定されているという。パパイヤ鈴木のSNSには、レコーディング風景も映っているようだが……。

「まだ情報解禁前なんですけどね（笑）。まぁ、この話はパパイヤ主導で進んでいるんでいいんですけど。もっと言うと、パパイヤのお姉ちゃんと僕が同級生で、姉ちゃんは“ド”がつくほどの不良だったんで（笑）。今回も、押しかけ女房的に頼まれて、あの姉ちゃんに捕まったからには……続くんでしょうね（苦笑）。で、パパイヤには、Twitterを再開するときに、いろいろとマナーを教えてもらいました。といっても、つまんないことしか書いてないけどね（笑）」

　最後に、（カバーアルバム）→（ヒデキ愛）→（ファンキーな楽曲をカバーする難しさ）→（ワーナーの思い出）→（ファンキーなユニット結成）と、話が展開しまくる錦織に、自身のカバーアルバムを買おうか迷っている人にもうひと押しのコメントを、とお願いすると……。

「迷っているなら買わないほうがいいんじゃない？」

　と即答だった。

　こんなクールなことを言いつつも、タワーレコードや山野楽器など実店舗では、CD購入者の中から抽選で、サインの入った色紙やパネルをプレゼントするなど、演歌系ならまだしも、ポップス系のレジェンド・アーティストでは珍しいほどの手厚い対応を続ける錦織。そのかいあって、発売1週目の販売データをビルボードの集計基準となるサウンドスキャンで調べてみると、『歌謡Style Collection』は、実店舗63%に対し、ネット通販が37%と実店舗が上回っている。参考までに、同じ発売日に錦織と同じレベルの売上だった10タイトルの平均を出してみたところ、実店舗28%に対し、ネット通販は72%と完全に逆転している。彼が積極的におこなった店頭施策が、いかに効果的だったかわかるだろう。

「それは、めちゃくちゃうれしいですね！　もちろん、ネット通販やダウンロードも使いますが、お店に足を運ぶことがなくなっちゃったら、どうなるの!?　って思いますからね。タワーレコードさんや山野楽器さんをはじめ、コーナーを展開してくださるお店は、本当にありがたいです。今は配信の時代だけれど、こうやってちゃんとパッケージを作ると、ファンの方にも喜んでいただける。僕は書店に行くのも好きなんですよ。偶然の出会いがあるし、なんとなく見ていて発見することも面白い。子どものころにレコード店でタン、タン、タンってレコードをめくっていくのもうまくて、それも楽しみのひとつでさ。あのころのレコード店は、アルバムを買うと、1枚ずつ取り出して“確かめてください”って、キレイかどうかチェックさせてくれたんですよ」

　コラボの相手として、今をときめくYouTuberなどではなく、長年の実力者である井上珠美やパパイヤ鈴木を選んだり、アルバムをリリースするにあたって、配信限定の作品も増えている中で実店舗を積極的に応援したり……。錦織一清の選択基準は、決してサクサクとした効率重視ではなく、リスナーやファンとの心が通っているかどうかの見極めにある気がする​。それゆえ、この『歌謡Style Collection』も、人肌の感じられる作風となっているのだろう。こうした愛の詰まった作品は、きっと私たちの生き方にも大きく影響していくはずだ。

錦織は今後も、ワクワクするコンテンツを提供してくれるに違いない！　撮影／伊藤和幸

（取材・文：人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝）

【PROFILE】
錦織一清（にしきおり・かずきよ）　◎1965年生まれ、東京都出身。小学生のときにジャニーズ事務所に入所。アイドルグループ「少年隊」のリーダーとして一世を風靡。テレビドラマや舞台を中心に俳優としても活躍。'99年につかこうへい演出「蒲田行進曲」への出演をきっかけに、舞台演出にも積極的に関わるように。43年間、ジャニーズ事務所で活動したのち、'20年12月31日に独立。以降、'21年にシングル「Song for you」をリリース、'23年2月には舞台『サラリーマンナイトフィーバー』を主催・制作。'23年4月にはカヴァー・アルバム『歌謡　Style Collection』をリリースした。