2021年の流行語大賞にもノミネートされた「推し活」。ひと昔前は、どこか一部でマイナスなイメージを持たれることもあった「オタク」という言葉も、いまでは老若男女に普及し、幅広い世代に使われています。

 そんな中、いま話題の「オタク婚活」。いったいどんな婚活なんだろうと、疑問に思っています。私の勝手なオタクのイメージは、趣味に没頭し、むしろ“推しさえいれば恋人なんて必要ない!”という人も多いのでは? という気もしています。

 実際のところはどうなのでしょう? オタク婚活ってそもそも何? 会員さんにはどんなオタクがいるの? やっぱり求める条件はオタク特有なの?

 オタク婚活の実態を探るべく、自身もオタクだったことから、腐女子やオタクに特化した結婚相談所を立ち上げた、「オタク婚活」の第一人者である、ミューコネクト株式会社の代表・横井睦智さんにお話を聞いてみましょう!

今回お話をお伺いした、オタク婚活の第一人者である婚活コンサルタントの横井睦智さん

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会員は男性が多め。いちばん多い層は“アニオタ”

──割合的にオタクの会員さんは、女性と男性どちらの割合が多いんですか?

「いまは少し男性の登録者のほうが多いです。一時期は女性が7割ぐらいいたんですけどね。『腐女子の婚活』っていう、自社で制作したマンガをTwitterで上げていたので、マンガを描いている方や、腐女子の女性がいっぱい来ましたね」

──会員さんにはどんなオタクがいますか?

「いろいろなオタクがいますけど、アニメオタクが多いですね。あと鉄道も多い。モデラーの人なんかもいますね」

──モデラーとは?

「プラモデルのオタクです」

──初めて聞きました。自身もオタクだったという横井さんですが、見た目だけで、“この人はオタクだな”とわかるんですか?

「そうですね。中には、見た目で清潔感がない方もいます。他には、男性の登録者の方だと、両サイドの髪が盛り上がっているヘアスタイルの方が多いです。

 その際は、ボリュームが横にあると頭が大きく見えてしまうし、やっぱり清潔感が大事だから、“髪はさっぱりしたほうがいいよ”と伝えています」

──たしかにサイドを刈り上げているほうが、さっぱりしたイメージにはなりますね。

あとは“スーツを着たほうがいい”と伝えますね。スーツを着れば、どんな男性もカッコよく見えますからね。僕は、どれだけ見た目がオタクっぽい方でも、磨けばみんな素敵になると思っているので、登録してくださって婚活をしている方には、身なりに対してもアドバイスをしています

──スーツ萌えですね、わかります! 女性はどうですか?

「女性の場合は、みなさん身なりはキレイにされているんですけど、カバンや持ち物が汚いときは、注意しますね。ぬいぐるみとかついてるようなバッグは、最初のデートのときには使わないことをおすすめすることも」

オタク婚活だけど相手にオタクだと明かさない!その理由は?

──いまさらですが「オタク婚活」って言うからには、オタク同士だけを引き合わせて、マッチングさせる感じなんですか?

「一般的にオタク婚活といえば、だいたいはそんな感じでした。昔はね

──昔? じゃあいまはどんなやり方なんですか?

「ミューコネクトでは、会員さんに“オタクってことを最初は相手に明かさないで”と言っています。時間をかけて徐々に明かしていく。相手と最初からオタクや推しの話で盛り上がるより、まずは基本的な恋愛コミュニケーションをとることが大事なので

──てっきりプロフィールに「◯◯オタク」と書いて、最初から明かすものだと思っていました!

「たしかに昔までは、オタク婚活というと、オタク同士だけの婚活パーティーだったんですよ。

 それは、震災前ぐらいのときに放送していた、アニメ『らき☆すた』の聖地が、埼玉県久喜市の鷲宮というところでした。そのときに、鷲宮の商工会議所が町おこしの一環で、オタクだけを集めて婚活パーティーを企画したんです」

──『らき☆すた』は有名なアニメですね。

「それが全国的にすごい話題になって、そこら中のパーティー業者が同じように、オタクの方たちだけの婚活パーティーをやり始めて。

 ぼくも初めは、“同じオタク同士だから、引き会わせれば仲よくなれるだろう”と思っていました。しかし、正直これが全然ダメでした

──それはどうしてですか?

「オタクって推しとか、好きなことになるとすごくしゃべるじゃないですか。それはいいんだけど、肝心の恋愛のコミュニケーションがうまくいかなくて、好きなことだけ話して終わってしまう。オタクはシャイな人も多いので、お互いに攻めていかないですし。交際に発展しないというか」

──婚活パーティーというより、オフ会みたいな感じですね。

「それですごく悩んで、いろいろと研究しましたね。いくらオタク同士とはいえ、ただ引き会わせればいいという話ではなかったんですよね。いまは会員さん、一人ひとりの話にしっかり耳を傾けて、その方に合ったカウンセリングをしています」

相手に求める条件はオタクならでは?

──相手に求めることはオタク・腐女子特有の条件だったりするんですか?

「男女差があって、女性は別に“非オタ”でもいいという方が多いです。“趣味や推し活を好きにさせてくれる人”ですね。男性は、“同じオタクがいい”っていう方がとても多い。それと、なぜか同じ(オタ活・推し活の)ジャンルを求める傾向があるんですよ」

──男性と女性で違うんですね。

「男性は“一緒にアニメが見たい”とか、“一緒にゲームがしたい”と言います。でも、実際に同じジャンルだともめてしまうこともあるので、僕はおすすめしない。

 僕もそうでしたが、オタクって推しに対する愛が強いから、下手したらお互いに論評がぶつかってしまうこともあるし。“趣味の不可侵条約”といって、お互いの趣味に干渉しないほうが恋愛はうまくいくんです

──深いです。ミューコネクトを利用される方は、婚活にどのような悩みを持っていることが多いですか?

「婚活パーティーや、マッチングアプリではうまくいかないっていう方と、他の結婚相談所ではダメでホームページを見て来てくださる方。この2通りですね」

──なるほど。

「女性は“交際経験がまったくないからとりあえず来ました”という方も多くて、男性の場合“はマッチングアプリで婚活するのは怖いので”という方が多いですね。いずれにしても異性とお付き合いしたことはない、という方は多いです」

──最後に成婚される人はオタク同士が多いのか、もしくは非オタクの方が多いのか教えていただきたいです。

「成婚される人たちはオタク同志が多いけど、やっぱりジャンルが違うオタクのほうが多いです。だから同じオタクでもジャンルは別のほうがいいですよ!」

 実態は、オタク同士をただ集めた婚活パーティーではなく、普通の婚活のようなもの。プロフィールに“オタクと書かないことが成功の秘けつ”だそうです。

 たしかに、何回か会ってから実は趣味が一緒だった! 好きなアニメが一緒だった! と、判明するほうが燃えますよね。最初から◯◯オタクと書いてしまうと、マッチング率もごく少数に絞られそう。

 ジャンルが同じだと「じゃあ推しへの愛、どっちが強いか証明しようぜ」なんていう地獄マウント合戦が行われてしまう可能性もありますもんね。

 自分の「好き」を語ることに生きがいを感じるのがオタクというもの。恋人同士でそれをやってしまったときには、あとの祭りでしょう。

(取材・文/桃沢もちこ、編集/本間美帆)


【PROFILE】
横井 睦智(よこい・むつとも) ◎1971年生まれ、岐阜県出身。オタク専門婚活戦略コンサルタント。2012年、日本で初めてオタク・腐女子に特化した結婚相談所・ミューコネクト株式会社を起業。年間相談件数800件以上、入会から11か月以内での成婚率80%の実績を上げる。2016年から2018年にかけて、所属団体にて3年連続で成婚率最優秀の成績を残し、2018年は全国で第3位にランクイン。現在は東京・大阪・名古屋を中心に活動。取材や講演などさまざまなメディアに露出する。著書には『オタク婚活はじめます』(すばる舎)、『ガチオタが1年で結婚できたわけ』(デザインエッグ社)がある。

公式サイト:https://mu-connect.jp/