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若い世代や海外からも注目されている昭和ポップス。本連載では、'80年代をメインに活動したアイドルの『Spotify』における再生回数と当時のCD売り上げをランキング化! データから過去・現在のヒット曲を見つめ、さらに、今後伸びそうな“未来のヒット曲”へとつながるような考察を、歌い手本人や関係者への取材を交えながら展開します♪

音楽

ピンク・レディーはダンスだけでなく「歌唱のプロ意識もとても高かった」、ケイと振り返る“進化を続けた47年間”

SNSでの感想
ピンク・レディーのケイこと増田惠子さん。当時と変わらぬプロポーションにうっとり! 撮影/伊藤和幸
目次
  • ケイはレコード推し♪ ピンク・レディーの月間リスナー数は10万人超え
  • Spotifyトップの「渚のシンドバッド」には知られざるこだわりポイントが!
  • 「UFO」の脚上げは進化中! '90年代の“ある変化”を機に新たな振付を採用
  • 喉が衰えないようトレーニングは欠かさない。阿久先生と都倉先生への印象は?
What's「未来へつなぐ昭和ポップス」?

 今、若い世代からも、また海外からも熱い注目を浴びている昭和ポップス。昨今では、音楽を聴く手段としてサブスクリプションサービス(以下「サブスク」)がメインで使われているが、必ずしも当時ヒットした楽曲だけが大量に再生されているわけではなく、配信を通して新たなヒットが生まれていることも少なくない。

 そこで、本企画では1970年、80年代をメインに活動した歌手の『Spotify』(2023年5月時点で5億1500万人超の月間アクティブユーザーを抱える、世界最大手の音楽ストリーミングサービス)における楽曲ごとの再生回数をランキング化。当時のCD売り上げランキングと比べながら過去・現在のヒット曲を見つめ、さらに、今後伸びそうな“未来のヒット曲”へとつながるような考察を、本人または昭和ポップス関係者への取材を交えながら進めていく。

 今回は、1970年代後半に“激しく踊りながら歌う”というスタイルで一大ブームを築いたピンク・レディーのSpotify人気曲を、ケイこと増田惠子(以下、「ケイ」)と一緒に振り返りながら、全3回に分けて考察していく。

ケイはレコード推し♪ ピンク・レディーの月間リスナー数は10万人超え

 撮影中から、「CDは、ちょっと狭い音域に閉じ込められた感じがするけれど、アナログレコードの音は大好き」と語っていたケイに、さらに音質に限りのあるストリーミングサービスについて恐る恐る尋ねてみると、

「興味はありますが、今は昔好きだったCDやアナログをずっと聴いているという感じですね」

 と、にこやかに答えた。後述するように、ケイはピンク・レディーの歌や振りをバージョンアップしたり、ソロの曲で新たな試みに取り組んだり、必要とあらば何でも頑張ってみるというタイプのようなので、ストリーミングに携わるのも何かのきっかけ次第なのだろう。

 ピンク・レディーのSpotify月間リスナーは毎月12~13万人で、これは1970年代デビューの女性アイドルとしてはトップクラス。なおかつ、彼女たちの場合は国内リスナーが9割前後と大半になっており、海外で火がついたいわゆる“昭和ポップスブーム”とは異なる動きで人気を継続しているのが大きなポイント。これはやはり、21世紀に入ってからも、コンサートやイベント、テレビの特別番組等で元気なパフォーマンスをわれわれに見せてくれているからだろう(5度目の再結成となる2010年には「解散やめ!」宣言もしている)。

Spotifyトップの「渚のシンドバッド」には知られざるこだわりポイントが!

  そんな中でのSpotify第1位は4thシングルの「渚のシンドバッド」シングル売り上げは累計100万枚(オリコン調べ)で、彼女たちの中では5番目のセールスだが、サブスクではダントツの人気だ。これは、アップテンポの夏ソングゆえに、海のドライブ用プレイリストなどにもピッタリ、というサブスクならではの需要も大きそうだ。そんな人気の分析をケイに伝えると、

「ピンク・レディーの曲は全部ノリがいいですよ~!! でも、3rdシングルの『カルメン'77』 はマイナー調で重厚なサウンドだったけれど、その後の『渚のシンドバッド』は、曲も振りもとても可愛くて、ほとんど睡眠がとれない中でも、パフォーマンスをしていてすごく明るい気持ちになれました。そういった点で大好きです! あと、歌っていてもそこまで息が上がらなくてありがたい、というのはありますね」

 “息が上がりすぎて大変”という楽曲については第2弾以降で語ってもらうとして、この『渚のシンドバッド』は、《アアア アアア……》と、ふたりのセクシーな歌声から始まるのもインパクト抜群。肌の露出が多い衣装も含め、周囲からの批判などもあったのではと尋ねると、

「たとえ、そういった声があったとしても、当時は一切耳に入らなかったですね。歌に対する思いや、歌えることへの喜びで十分満たされていましたから!」

 と、誇らしげに答えてくれた。

「それと、私たちは歌って踊るという特徴から、歌唱力に注目されていなかったかもしれません。だけど、連日にわたって十分な睡眠や食事がとれていないうえに、激しくダンスを踊るために腹式呼吸が完璧にできない状態になっても、それをやり続ける! というプロ意識がとても強かったんです。だから、全神経を集中させて完璧なものをレコーディングし、全力でパフォーマンスするということに命がけでした」

「命がけ」という言葉に熱がこもるケイ。どれほど真剣に活動していたのかが伝わってきた 撮影/伊藤和幸

 レコーディング時のエピソードを尋ねると、

「特に『渚のシンドバッド』では、作曲の都倉俊一先生から、出だしの《ここかと思えば またまたあちら》の文字と文字の間に小さな“っ”を入れるように歌って、と細かく指導されましたね。それを知らない人は、この部分を平坦に歌えばいいと思うかもしれませんが、実際はスタッカートで歌っているし、なおかつ土居甫先生のリズム感を意識した振付もあるので、最高にカッコいいんです!」

 語気を強めて語る様子から、1曲1曲、真剣勝負で取り組んできたことがわかる。しかも、リリースから46年が経過していても、その衰えぬ情熱や、“ピンク・レディー”であり続ける責任感が、ケイの言葉の節々から伝わってくる。

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