本当につらかったときを乗り越えての“いま”

──以前お話を伺った際、海外も意識しながら曲作りしているとおっしゃっていました。『NIGHT DANCER』が世界各国に広まったことを、どう受け止めていますか。

「すごく嬉しいですね。僕は歌詞も大事にしていますが、メロディやサウンドに重きを置いて制作する傾向が強いです。

『NIGHT DANCER』の歌詞は日本語ですが、サウンドやメロディは海外のダンスミュージックをイメージしながら作ったものだったので、言葉の壁を越えて海外の方にダンスミュージックとして聴いてもらえたんだなと思うと、自信にもつながりました。

 もっと自由に表現していけそうなワクワクした気持ちにもなりますし、僕の曲を聴いてくれるみんなに会うために、いずれはアジアツアーなどもできたらいいな……とか、どんどん夢がふくらみますね」

──人気者として多忙な毎日を送っていると思います。心身のバランスを保つためのimaseさんなりのコツは?

「この春からひとり暮らしを始めたばかりなので、慣れないことも多いですが、新生活をスタートしたみなさんと同じことですよね。

 まあ……確かに、『Nagisa』のMusic Videoの撮影をするために朝4時とか5時に起きて、その後、ものすごく長い1日を過ごしたりすると、“ああ~、大変だな”って思うことはありますよ(笑)。

 でも本当にしんどいなと思っていたのは、2021年12月にメジャーデビューしてすぐ後のころ、大きなタイアップソングを担当させていただくようになったときだったと思います。

 岐阜から東京への移動時間がすごく長かったので身体的にも大変でしたし、音楽制作の経験もまだ浅かったので“いい曲を作るにはどうすればいいんだろう”って、毎日すごく考えました。

 でも、チャンスだと思ったので、できるだけ考え込みすぎず、悩みすぎないよう心がけて、目の前のことに集中していました」

──自分の立ち位置を冷静に判断したり、メンタルを立て直す強さは学生時代のサッカーの影響でしょうか?

「サッカーはチームプレーなので戦術は大切ですし、自分の立ち位置を冷静に判断する能力も求められます。けど、僕はここぞというとき、戦術よりもひとりでドリブル突破しちゃうようなタイプ(笑)。

“落ち着いているね”と言われることもありますが、けっこう“緊張しい”です。それに、音楽活動では“締め切りまでに曲を作らなきゃ”とか、“いい曲を作れるだろうか”というプレッシャーもありますが、制作のためにいろいろな音楽を聴くと新しい発見があって、自分の世界が広がる面白さを感じたりできます。

 それに、自分なりに頑張って作った曲がいろいろな人に届いて、“よかったよ”とか“元気になりました”と感想をいただけると、心から作ってよかったなって思います。

 そうした実感を大事にしたいですし、実感できるからこそ、またいい曲を作ろうとか、ライブパフォーマンスのレベルを上げたいという前向きな力が生まれてくるのかなと思います」

imaseさん 撮影/曳野若菜

(取材・文/キツカワユウコ、編集/本間美帆)


【PROFILE】
imase ◎岐阜出身で22歳の ”新世代男性アーティスト“。音楽活動開始わずか1年で、TikTokで楽曲をバイラルさせ2021年12月にメジャーデビュー。2022年にはCM主題歌やドラマタイアップにも大抜擢されるなど、いまティーンから絶大なる人気を得ている。『NIGHT DANCER』は韓国配信サイト「Melon」でJ-POP初のTOP20入りを果たし、SpotiifyバイラルチャートTOP50に31カ国ランクインするなど、世界各国でもバイラル中。2023年3月30日には初の有観客ライブ『POP OVER』の追加公演共にチケットが即完売。今秋に自身初のツアー『imase 1st Live Tour』の開催も決定している。Twitter→@imase_1109、Instagram→@imase11_9