あなたは萱島派? それとも、白浜派?

 中でも、人気キャラ投票したら1,2を争うであろうメンバーが、山田裕貴さん演じる萱島と、赤楚衛二さん演じる白浜。どっち派か意見が真っぷたつに分かれるというよりは、ふたりとも魅力的で紗枝の立場になったら選べないという人が多い印象です。かくいう私も、一見冷めた萱島の壮絶な過去や、そこで培った胆力や頼もしさが見えてくると“萱島派”に、見事なリーダーシップを発揮する白浜の背負った重責や自分の弱さに対する不甲斐なさがにじみ出ると今度は“白浜派”に……と毎回心を揺らされています。

 それくらい、山田さんと赤楚さんの名演により各々のキャラクターが際立っているといえるでしょう。ふたりの役に対する熱い思い入れや真摯(しんし)な姿勢が画面からひしひしと伝わってくるのです。

“負の印象”からのギャップで魅せる、山田裕貴さん

 山田さんと赤楚さんといえば、どちらも東映の特撮出身。山田さんは2011年に『海賊戦隊ゴーカイジャー』(テレビ朝日系)で俳優デビューを果たし、ゴーカイブルーこと、ジョー・ギブケン役を演じました。山田さん自身はバラエティ番組出演時の様子やSNSへの投稿を見ればわかるとおり、かなりお茶目で親しみを感じさせる人。ギブケンはそんな山田さんとは真逆ともいえる無愛想でクールな役柄です。だけど、実は純粋な心を持っており、シャイで優しいギブケンは萱島さんと少しかぶるところも。

 このギャップで“魅せる”というのが山田さんの真骨頂であり、最初は負の印象を抱く役であっても、見ているうちに惹(ひ)きつけられていくようなその人の魅力を引き出すのが抜群にうまい。昨年の朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)で演じたヒロインの姉・良子(川口春奈さん)の夫となる博夫の役も、当初は自己主張できない情けなさも感じる役でしたが、半年にわたる放送の中で成長を遂げ、最後は彼の優しすぎる面が頼もしさに変わる瞬間を見せてくれました。山田さんにかかれば、どんな役でも噛めば噛むほど味が出てくる人になるんですよね。