去り際のたったひと言で、店員の態度が激変
「店員を笑わせるなんて、ハードルが高い」そう思ったあなた。大丈夫です。笑わせるまでしなくても、店員に「あのテーブルに行きたい」と思ってもらうのは簡単なんです。
例えば、水を運んできてくれたときやテーブルを拭いてくれたとき、料理を持ってきてくれたとき、水を注いでくれたとき……。
そんなタイミングで、次のひと言を口にする。
「ありがとう」
そのたった5文字の言葉に神が宿る。これだけで十分なのです。
なぜなら、店員に対して「ありがとう」と言う人はほとんどいないから。多くの人が、お店で店員がしてくれるサービスは“当たり前”だと思っていて、お礼なんて言いません。それどころか、サービスが少し遅れるだけで激怒するお客までいます。
店員からしても、「ありがとう」なんて言われることはめったにないので、それだけで好感を持ってくれます。
言われてみれば、これまでの私の経験でも、料理を運んできた店員に「ありがとう」って言っているのは、一流の人たちばかりだったように思います。
少し前にも、あるカリスマ講師の方と食事をご一緒する機会がありました。決して高いお店ではなく、昼は定食屋、夜には居酒屋に変わるようなお店です。
若い店員がマニュアルどおりの接客をしていて、決して悪い接客ではありませんでしたが、笑顔もなく、私は店員に対してちょっと不愛想な印象を持っていました。
ところが、食事を終えて会計をするとき、その講師の方がレジの店員に、こう声をかけたのです。
「とてもおいしかったです。ありがとうございました」
その言葉を聞いた、それまで不愛想な顔をしていた店員。思わず笑顔になり、ひと言。
「ありがとうございます! またいらしてください!」
ああ、これか……。
これが、仕事の依頼が絶えない人の違いなんだな……。そう思わせてくれる、ひと言でした。
(文/西沢泰生、編集/本間美帆)
【PROFILE】
西沢泰生(にしざわ・やすお) 2012年、会社員時代に『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム)で作家デビュー。現在は作家として独立。主な著書『夜、眠る前に読むと心が「ほっ」とする50の物語』(三笠書房)『コーヒーと楽しむ 心が「ホッと」温まる50の物語』(PHP文庫)他。趣味のクイズでは「アタック25」優勝、「第10回アメリカ横断ウルトラクイズ」準優勝など。