現代でも大人気の楽曲が続々、本人にとって難易度が高い曲は?
そして、Spotify第6位から第10位は、「S・O・S」、「透明人間」、「モンスター」、「カルメン '77」、「カメレオン・アーミー」と、いずれも'76年から'78年のあいだにオリコン1位を獲得したヒットシングルが並んだ。
「どの歌にも思い入れはありますが、歌い踊っていて最高に苦しくなるのは第10位の『カメレオン・アーミー』。第8位の『モンスター』も激しいですね。
特に『カメレオン・アーミー』はアップテンポで、
とはいえ、このもっとも大変な『カメレオン・アーミー』は、再結成後のピンク・レディーのコンサートはもちろん、近年のケイのソロ・コンサートでも頻繁に歌われる曲となっている。
「当時は、喉をつぶして声を出しにくいし、おまけに踊りで体力も消耗するし、とても大変でしたが、今ではノリノリで楽しく歌っています。ソロのときでも歌うのは、みなさんが“ピンク・レディーの楽曲が聴けてよかった”、と言ってくださることが多いからです。この『カメレオン・アーミー』は自分にとっても、“まだがっつり歌って踊れるかな……”という、体力測定コーナーになってますね(笑)。まだまだ大丈夫! って確信するために歌っています!」
そして、これらに続くSpotify第11位には、すでに解散が決まっていた'80年末に発売された「リメンバー(フェーム)」、しかも、30年後の再結成でよりパワフルに生まれ変わったアルバム『Innovation』バージョンがランクイン! この曲は、もともと世界的にヒットした映画『フェーム』の主題歌のカバーだが、Spotify調べによるとリスナーの9割以上は日本で、決して(シティ・ポップ・ブームのような)海外リスナーによるものではない。
「『リメンバー』は当時、歌っていて正直つらかったです。《やるだけやった、すがすがしいほど後悔はない》という歌詞がとてもリアルで、青春まっただ中にいた私には悲しすぎて……。でも、『Innovation』で歌ったときはまったくそんなことはなく、青春を振り返るのに十分な時間がたっていたので、改めていい曲だと思って歌えましたね」
全米で勝負をかけた「KISS IN THE DARK」!アルバム曲も国内で人気に
さらに、第13位は'79年発売の英語曲「KISS IN THE DARK」で、こちらも『Innovation』バージョンだ。本作は全米に進出し、本場のビルボードに、坂本九以来2人目となるTOP50入りの最高37位になったことでも話題となったが、当時も、このニュー・バージョンでも、英語で実に軽やかに歌っている。
「この曲は、歌手として、ピンク・レディーとしてのプライドをかけていたので、本当に印象に残っています。この曲を通して“日本にはないピンク・レディー”を売り出そうとしていたんです。それまでの、ふたりの声が重なったハーモニーやパワフルな歌声をほぼすべてシャットアウトし、ウィスパーで歌うというのも初めての試みでした。レコーディングのマイクにはガーゼのようなもがを何重にも巻かれ、セクシーな感じが出るように工夫されていましたね。自分でも“これ、私の声?”って驚いたほど、ボーカリストとしても成長できました」
本作を含む海外進出アルバム『ピンク・レディー・インUSA』からは、TOP50に5曲もランクインしている。
「アルバムの曲が入っているのはうれしいですね! 『Love Countdown』はソウルフルで大好きですし、『Love Me Tonight』もデビュー前、浜松のボーカルスクールに通っていたころ、アコースティックギターの伴奏で練習していたので、そのときに培ったリズム感がベースにあります。ふたりの声質がまったく異なっているのに、歌声が重なったときの倍音のすごさに気づいたのも、このころでした。当時、同じレコード会社だった(バンドの)スペクトラムの方からも、“ピンク・レディーって驚異のユニゾングループだよね!”ってお褒めの言葉をいただけたんです! ボーカルスクールの先生が、(オリジナル版を歌っている)トム・ジョーンズが大好きで、私たちも影響されていたので、このときカバーできて、とてもうれしかったです」