カバー曲「勝手にしやがれ」「どうにもとまならい」にまつわる思い出
続くSpotify第14位と第16位には、沢田研二の「勝手にしやがれ」と山本リンダの「どうにもとまらない」というカバー曲がランクイン! これは、阿久悠の作家生活10周年を記念して、当時のビクター所属アーティストが総出となってカバーしたレアなオムニバス盤からの配信曲だが、ただでさえ寝る間もなかったふたりは、覚えているのだろうか。
「『勝手にしやがれ』を歌った記憶、私はないですね……。ただ、私たちをスカウトしてくださった相馬さんが、もともと渡辺プロダクションにいらしたので、沢田さんからも“相馬ちゃんが君たちのマネージャーなんだよね”って親しくしていただきました。
リンダさんの歌をカバーしたことは、よく覚えています。阿久先生と都倉先生のコンビによるヒット曲には、どこかピンク・レディーへとつながる匂いがするので、この『どうにもとまらない』のレコーディングのときには、不思議な高揚感がありました」
さらに、第18位には'80年のシングル「愛・GIRI GIRI」がランクイン。当時、アメリカでの仕事が忙しく、日本のテレビではほとんど歌っておらず、初めてオリコンTOP50(最高58位)に入らなかったシングルだが、Spotifyでは最後のTOP10ヒットとなった「波乗りパイレーツ」とほぼ変わらぬ人気。松田聖子の初期楽曲の多くを生みだした小田裕一郎によるメロデイーも、キャッチーで覚えやすいからだろうか。
「レコーディングはもちろん100%の力で歌ったはずなんですが、テレビでほとんど歌っていないと思います。でも、再結成後に歌ってみると、ファンの方から“ハーモニーのよさや歌のうまさがよくわかってうれしい”って言っていただける曲でもあるので、今も多くの方々に聴いてもらえているのはとても光栄です。『波乗りパイレーツ』も軽快でノリがよくて好きだったな~」
こんな風に、当時あまり注目されなかった楽曲の中にも、Spotifyでの人気曲が多いことがわかる。ケイは、こうしてまじめな音楽の話をしながらも、「長丁場の撮影、お疲れさまでした」と声をかけると、
「とんでもないです! いろいろ崩れる前に撮影できて楽しかったです(笑)」と、サラリと三枚目風のジョークも飛ばせるあたり、さすが昭和のテレビで鍛えてきたスターの貫禄を感じさせた。次回、ラストとなるインタビュー第3弾では、オリコン音楽DVDランキングで週間7位となったBOX『ピンク・レディー・クロニクル』や、増田惠子としてのソロ活動についても語ってもらう。
(取材・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)
【PROFILE】
増田惠子(ますだ・けいこ) ◎1957年、静岡県生まれ。'76年にピンク・レディーとして「ペッパー警部」でデビュー。「UFO」「渚のシンドバッド」ほか数々の人気曲で一世を風靡し、'81年に解散。同年11月、中島みゆき作詞・作曲の「すずめ」でソロデビューし40万枚の大ヒットに。その後、女優として映画、ドラマでも活動。'11年にはピンク・レディーが再始動し、全国22か所でコンサートを開催、翌年'12年にはソロ・デビュー30周年記念アルバム「カラーズ」を発売。10年後の'22年には40周年記念アルバム「そして、ここから・・・」を発売した。現在も歌手活動をはじめ、テレビ番組、ラジオ番組への出演など、精力的に活動中。
◎増田惠子 公式Instagram→https://www.instagram.com/keiko_masuda_official/
◎ピンク・レディー 公式Twitter(ビクター)→@PinkLady_VICTOR
ピンク・レディー45周年PLUSプロジェクトのハイライトとして、6枚組DVDボックス・セット『Pink Lady Chronicle TBS Special Edition』がデジタル・レストア&サウンド・マスタリングにてリリース中。初DVD化の映像多数、総収録時間は8時間半を超える大ボリューム!
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