“「閉」ボタンを押しながら降りる”は、する必要がない

── “安全に乗り降りする”ことが大前提という点をお聞きしました。読者からの質問で「閉ボタンを押しながら降りる人がいるけど、あれは必ずしなきゃいけない?」という質問があったのですが、こちらはいかがでしょう?

これはマナー違反というよりは、する必要がないという回答が正しいと思います。恐らく心理として“先に降りるので、乗客の時間を取らせないように”という配慮だと思い、それ自体はよい気遣いです。ただ先ほども話したとおり、エレベーターが乗り物である以上はマナー云々(うんぬん)よりもまず、安全さを優先する必要があります

 エレベーターによっては、センサー式で自動で開閉したり、閉まるボタンを押したら扉が動いたりとさまざまで、古いエレベーターだと閉まるスピードがものすごく速い場合もありますよね? それが思わぬ事故につながる可能性もありますし“降りるときは閉ボタンを押しながら降りたほうがいいんだ!”と、小さい子どもがマネしてしまうと、降りるときに間に合わず、扉にぶつかって大ケガをしてしまうことだってありえます

──確かに、大人であれば腕に扉がぶつかるくらいですが、子どもだと扉に巻き込まれる可能性もありますね。

「そうなんです。勢いがあるエレベーターもあるので、降りるときは速やかに降り、基本的に閉まるボタンは乗っている人が押す。どうしても降りるときに気になるのであれば、軽く会釈だけしておく。繰り返しになりますが、安全さを重視した行動をとるべきです

エレベーターは奥に詰めるべき? 待つときの立ち位置は、右? 左?

──次に、「エレベーターに乗るとき、最初に乗った人から奥に詰めるべき?」という質問がありましたがどうでしょう?

詰めるべきとまではいきませんが、そういう心遣いはあったほうがいいです。電車でも同じですが、扉の前にずっと立たれると、乗る人も降りる人も不便ですよね。ただ、1階で乗ってすぐ2階で降りるという場合、あまり奥に詰めすぎてしまうと何回も乗客を動かすことになります。その場合は、操作パネルの近くや前方の場所で待機し、降りるとき邪魔にならないようにしましょう」

──自分の場合、新人のときのクセでどんなときも操作パネル側に行こうとしがちです(笑)。

「すごくわかりますよ(笑)。操作ボタンに誰も人がいない場合もあるのでそのほうが親切だと思います。原理原則はありつつ、相手がどう思うか? それは安全か? に気をつけておけば問題ありません

──ありがとうございます。次に「エレベーター前で来るのを待っているときに並ぶ場所は、左? 右?」という質問がありました。こちらについてはいかがでしょうか。

「まず、添乗員の方がいたり、待機用の線がある場合はそれに従ってください。そして案内がない場合はケースバイケースです。

 エレベーターは基本、建物の奥に設置されていることが多いと思います。そしてエレベーターから降りる人は、ショッピングモールであればお店側に、オフィスであれば執務室側に向かうことがほとんど。であれば、相手が降りる方向を予測して、その進行方向を妨げない場所で待機するのがベターです

──エレベーターから見て左側が壁になっているのであれば、降りる人は右側に行く。であれば、待機するときはそれを邪魔しないよう、壁側にいたほうがいいというイメージですかね?

「そうです。ただ、エレベーターが複数あったり、車いす用のエレベーターだったり、降りたあとの目的地が多岐にわたる場合もあり、さすがにすべてを予測することはできないと思います。ですので、降りる人とぶつからないことを最優先に考え、進行方向を塞がないことを念頭に判断すれば問題はありません