「青空に誓って」「愛することだけすればよかった」などの制作秘話や人気の理由
では、ここからは、その他の話題曲を次々と語ってもらおう。まずは、第9位の「別れて そして」。デビュー40周年のリクエストで4位と、コアなファンには大人気だ。
「例えば、『ブルー』は《背中合わせのブルー》の部分のインパクトがありますが、この『別れて そして』は、透明感があるものの、引っかかる部分が少ないのかも。私も大好きですが、ちょっと色が希薄なんでしょうね」
第14位「青空に誓って」は、ゲーム『ワイルドアームズ』のテーマ曲。渡辺の21世紀になってからの楽曲ではもっとも聴かれている、希望あふれるエールソングだ。
「Play Stationの制作側の方から、“曲はあるのですが、詞をつけて歌ってみますか”と言われ、とっても素敵な曲だったので、すぐに詞をつけて歌いました。子どもたちに送る感じがいいんですよ。これ、実はゲームをクリアしないと聴けないので、先日のコンサートで歌ったときも、“クリアした清々しい気分で聴いてください”と言ったら、大きな拍手が沸き起こりました(笑)」
第23位は、カップリング曲としては2番目に人気の「うみなり」。ファンリクエストではダントツ1位となる壮大なバラードだ。
「編曲してくださった船山さんも、“自分の中で会心の出来で、とても気に入っている”とおっしゃっています。海の映像がとても浮かびやすいからでしょうか。これは、サンレモ音楽祭に出場したときに地中海の風景を見ていたら浮かんだ曲ですね。ちょっと切ない感じだから、ファンの方に人気なんでしょうね」
第26位「愛することだけすればよかった」は、シティポップ的な雰囲気だからか、当時オリコンチャート圏外、しかもアルバム曲ながら大健闘の順位だ。
「これはT-SQUAREにいらした和泉宏隆さんのアレンジの勝利でしょうね。詞の内容は命に関するもので、この“愛することだけすればよかった”というのは、当時のマネージャーのお母様が、ご主人のお墓に向かっておっしゃったそうで。なんと素敵な言葉だろうと思って歌にしました」
こうしてみると、ここでの上位4曲は、いずれも緻密に作り込まれていて、今なお飽きさせない“記録よりも記憶に残るヒット曲”になっていることがわかる。さらに、それ以外の楽曲も他と異なる魅力があり、45年のキャリアの中でトライしたさまざまな楽曲が、すべて彼女の血肉となっているのが感慨深い。
次回は、そのデビュー45年目の大きなチャレンジとなった中島みゆき作詞・作曲のシングルや、45周年ライブについて語ってもらうことにする。
(取材・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)
【PROFILE】
渡辺真知子(わたなべ・まちこ) ◎神奈川県生まれ。1977年「迷い道」でデビュー。「迷い道」「かもめが翔んだ日」「ブルー」「唇よ、熱く君を語れ」など日本のポップス・シーンに残る数々のヒット曲を送り出し、抜群の歌唱力で一躍、人気アーティストの仲間入りを果たす。日本レコード大賞最優秀新人賞ほか、音楽祭で13賞を受賞。近年ではライブパフォーマンスが評価され海外で歌う機会も多く、また、創作活動にも意欲的。'19年には「中島みゆき 夜会VOL.20~リトル・トーキョー」(全20回)に客演。その中からデビュー45周年を記念し、'22年9月21日に「二雙の舟/カナリア」をリリース。さらに2023年5月24日には前年の東京国際フォーラムで行われた記念コンサートの模様をライブアルバム 「花束をありがとう ~45th Anniversary」としてリリースした。
日時:2023.10.01(日)会場15時、開演16時
場所:東京国際フォーラム ホールC
料金:1、2階席8500円、3階席7500円(税込)
コンサート詳細やチケット情報→https://www.capital-village.co.jp/calendar/concert/2023012302.html
◎渡辺真知子 公式HP→http://www.kamome-music.com/index.html
◎渡辺真知子 公式ブログ→http://machiko-watanabe.cocolog-nifty.com/