13歳で俳優デビューして以来、数々の映画、ドラマ、舞台で活躍を続ける高杉真宙さん。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、映画『東京リベンジャーズ』シリーズなど、話題作に次々と出演し、2024年は大河ドラマ『光る君へ』も控えている。この秋には『ロミオとジュリエット』のロミオ役で舞台に立つ。今や引っ張りだこの人気俳優の高杉さんにインタビュー。【前編】では、ロミオを演じる意気込み、舞台を大切にしている理由などについて語っていただきました。
ロミオは「まっすぐにアホだな」って思う
──『ロミオとジュリエット』にはどんなイメージを持っていましたか?
シェイクスピアの作品には、主人公たちが理不尽に立ち向かうイメージがありますがロミオとジュリエットは、それに立ち向かえなかった人たちというイメージです。若さゆえに起きてしまった悲劇という感じがすごくしますね。俳優という職業をやっていくうえでシェイクスピア作品への強い憧れがあったし、『ロミオとジュリエット』は20代のうちにやってみたかったので、ぜひ挑戦したいと思いました。
──世界的に有名な物語である『ロミオとジュリエット』でロミオを演じるにあたり、どのような高杉さんらしさを出したいと考えていますか?
これまでロミオを演じられた方たちが、どんなふうに演じてきたのかというのを僕自身がちゃんとわかっていないので、突き詰めた結果、似たり寄ったりになってしまうかもしれないですが。でも、僕が演じることが変化につながると信じてやっていきます。
僕は、ロミオはまっすぐにアホだなって思っているんですね。まっすぐすぎるところがあるから、そこはできる限り純粋に演じていきたいです。
──今回が初共演となるジュリエット役の藤野涼子さんの印象は?
すごく優しい空気をまとった方だなっていう印象です。お話ししていてもそれは変わらず、すごく落ち着いていらっしゃって、安心するなと思いました。
『ロミオとジュリエット』のような戯曲で特に詩が多い作品には、独特のリズムがあると僕は思っていて。そのリズムが心地いい台詞の間だったりタイミングだったりするんだろうなと。稽古に入る前の本読みをしたときに、藤野さんのリズムはご自身のリズムなんですよ。
それが僕が思っている作品のイメージのリズムと違うリズムで。でも、作品を壊さずにすごくハマっているリズムなんです。それがうらやましくて仕方なくて。
──それは、高杉さんの演技にもいい化学反応がありそうですね。
そうですね。本読みで1パートごとに少しずつ言い方を変えてみたり、台詞を言っているだけでも楽しいですし、本稽古が始まるのがすごく楽しみです。
ロミオとジュリエット
【ストーリー】ヴェローナの敵対する名家、モンタギュー家のロミオ(高杉真宙)とキャピュレット家のジュリエット(藤野涼子)は、仮面舞踏会でお互いに何者かを知らぬまま、出会った瞬間に恋におちる。すぐに家が敵同士と知るが愛を誓い合い、ひそかに結婚式を挙げるが……。若者の疾走する激しくも悲しいたった5日間の恋を描いた、ウィリアム・シェイクスピアの代表作。
舞台はリセットができる場所
──『ロミオとジュリエット』なので聞いてみたいのですが。もしも、ロミオとジュリエットのような障害の大きな恋をしたら、ロミオのように運命に抗おうとしますか?
できる限り、僕の精いっぱいは尽くそうと思います。
──すぐには諦めない?
はい。それはそうじゃないですか。やってみないとわからないことって世の中にはたくさんありますから。ロミオとジュリエットのように悲劇が待っているかもしれないので、潔く引くのも大事かもしれませんが、そんな聞き分けがいい恋愛はしないほうがいいと思います。
──若者らしくて素敵です。藤野さんと2人でどんな『ロミオとジュリエット』を観せたいですか?
台本に書いてあることを忠実にできたらいいかなと思っています。ストレートに、変化球は必要ないなと。やっぱり、これだけ愛されている物語はできあがっているものなので、台本を役者がそれぞれの役を中心に読んで十分理解したうえで、どんなふうに相手が持ってきたものと自分が持ってきたものとの化学反応を起こすかで、お芝居って作品が一緒でも絶対に変わってくると思うんですよね。
──2009年に舞台『エブリ リトル シング’09』で俳優デビューされて、今まで舞台にもたびたび出演されています。高杉さんにとって舞台はどんな場ですか?
いろんなリセットができる場だと思います。最近すごく思うんですけど、舞台ってできることしかできないんですよね。生身でお客様から360度見られるのでごまかせないですから、自分のできないことが明確になる。
だから、自分の今いる立ち位置っていうのが、すごく見えるんです。考え方とかいろいろリセットできる場所だなと、舞台をやるたびに思いますね。そういう意味でも舞台はこれからもやっていきたいです。
※後編に続きます
(取材・文/井ノ口裕子 ヘアメイク/堤紗也加 スタイリスト/菊池陽之介)
《PROFILE》
高杉真宙(たかすぎ・まひろ) 1996年生まれ。福岡県出身。2009年より活動を始め、2012年に映画『カルテット!』で初主演を務める。2014年、映画『ぼんとリンちゃん』で第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。近年の主な出演作に舞台『カリギュラ』(’19年)、『ライフ・イン・ザ・シアター』(’22年)、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(’22年)、連続テレビ小説『舞いあがれ!』(’22年)、『わたしのお嫁くん』(’23年)、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』前編-運命-/後編-決戦-(公開中)など。2024年、NHK大河ドラマ『光る君へ』出演予定。
●公演情報
『ロミオとジュリエット』
【作】ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】松岡和子
【演出】井上尊晶
【出演】高杉真宙 藤野涼子 矢部昌暉 新原泰佑 三浦獠太 佐伯大地
皇希 田中亨 皆藤空良 菅 彩美 木村咲哉 牧野彩季 松浦慎太郎 村井友映 井上百合子
冨樫 真 廣田高志 一谷真由美 松澤一之 星田英利 石井愃一
【日程・会場】
東京公演:2023年9月13日(水)~9月24日(日)有楽町よみうりホール
大阪公演:2023年9月29日(金)~10月1日(日)森ノ宮ピロティホール
富山公演:2023年10月7日(土)~10月8日(日)富山県民会館ホール
愛知公演:2023年10月14日(土)~10月15日(日)東海市芸術劇場 大ホール
福岡公演:2023年10月21日(土)~10月22日(日)キャナルシティ劇場
仙台公演:2023年10月28日(土)~10月29日(日)仙台電力ホール