9月23日は秋分の日だね。「暑さ寒さも彼岸まで」なんて今じゃ考えられないよね。秋分の日と春分の日って、聞き取りづらくて一瞬どっちを言われたか迷うよね。ね。ね。ん~あれだな、あんまり秋分の日で話すことないな。
「ドラッグストアに化粧品?」
そうだな~昭和生まれである僕が子どものころの薬屋さんって言うと、店先に置いてある愛嬌たっぷりのカエルの置物や、なぜかオレンジ色でニカッと笑うゾウに出迎えられるわりに、中に入ると狭くて辛気臭くて楽しくないお店ってイメージだったけど、だいぶ前からドラッグストアなんて呼ばれるようになって、店内も広いし明るいし、入りやすくなったよね。あと、ドラッグストアって、「薬」って漢字1文字だけ書かれてる、でかい看板好きよね。別にいいんだけど。
それでさ、ドラッグストアの店内を探索していると、いつの間にか化粧コーナーにいて、男性としてはデパートの女性下着売り場に迷い込んでしまったような焦りを感じるときもあるんだけど、ここで、「ドラッグストアに化粧品?」って思うんだよね。
まーね、こんなこと言うのも何なんだけど、ドラッグストアって言うくらいだから、メインはお薬を売ることだよね。お肌に関するお薬も売っているにもかかわらず、全部とは言わないが、お肌にあまりよろしくない、お肌のためなら塗らないに越したことのない化粧品を販売するというね・・・ま、いいっか。便利だもんね。薬と化粧って女性が集まりそう。企業戦略として成功だよね。棚に並んでいる感じも薬と見た目、変わらないし、いいんじゃない。
スタンプカードの出番のなさよ
僕もドラッグストアが好きでよく利用するんだけど、いろんな店があるんだよね。レジでスタンプカードを持っているか聞かれ、「持ってない」と言うと、「作りますか?」ってくるわけ。そこで「いらないです」って言えないタイプなんだよね。それって「もう二度と来ません」って言っているようなもんで悪いよ~。だから、つい「はい」って返事しちゃうの。すぐ作ってくれればいいけど、「こちらにご記入を」ってなると、もうめんどくさい。十二単着てトイレに行くくらい、めんどくさい。
「今日の分も押しときますね」なんて、当たり前なのに特別ですよ感だされて、押印が済んでしまえば、いつ来ても出せるようにと財布に入れておくが、これがまー、出番がこない。それもそのはず、チェーン店かと思いきや、この店だけ。よく地元のスーパーが全国区だと思っていたら、そこの地域に何店舗かあるだけという“田舎あるある”と一緒。こんなふうに、一度しか行かない店のカードが財布の中に増えていくんだよね。
久しぶりに行ったとしても、「もう、このスタンプカードやってないかも」と出すのを躊躇しちゃうし、捨てればいいのに貧乏性で捨てらんないんだよね。ハンガーも。あれ、これ先月も書いたな。冷蔵庫に溜まった納豆のからしとハンガーは捨てられないって。わかってるなら同じこと書くなよ! でも、思い出せた喜びの勢いのまま書いちゃう。あるあるネタとか、どこで何を言ったか、書いたか、わからなくなるんだよね。今後も被ったら、初めて読んだ感じで軽く流してやってください。上司が前に言ってきたことを、初めての話題かのように聞いて笑うでしょ? あの感じで、これからもお願いします。
安くておいしいアルフォートを求めて
いやいや、これからもお願いしますじゃないんだよ! まだ書くよ。ドラッグストアの話だったよね。僕はね、アルフォートを買いに行くの。75円とか安いんだよね。アルフォート購入専用のマイドラッグストアがあるくらい。板チョコサイズのブラックが好きでね、半分だけ食べよって開けたのに、12個ぜんぶ食べちゃう暴挙の繰り返し。またここで、「ドラッグストアにアルフォート?」って思うんだよね。まーね、こんなこと言うのも何なんだけど、ドラッグストアって言うくらいだから、メインはお薬を売ることだよね。
例えば、のど飴。飴とはいえ、のどを治す薬だからいいでしょう。真ん中に穴の開いたトローチで笛吹いて、遊び道具的な要素もありますが、どこまで噛まずにいられるかという自分との闘いもありますが、いいでしょう。
例えば、ポカリスエット。出てきた当初は、245mlの缶が120円で、学校から帰って冷蔵庫の中にポカリがあったので飲もうとしたら母親に「それは薬だから、お父さんが疲れたときに飲むもんなんだよ」って言われたな。薬とウソをついてまで子どもに飲ませたくなかったんだから、ドラッグストアで販売してもいいでしょう。風邪や食中毒のときに飲むといいってお医者さんも言うしね。
例えば、カロリーメイト。チーズ味に続き、チョコレート味やメープル味とお菓子の要素がありますが、バランス栄養食としてのイメージが強く、僕のお弁当のおかずの部分に入っていたので恥ずかしかった覚えがあるけど、いいでしょう。栄養食でいうと、ソイジョイ系もよく置いてあるし、エネルギー10秒チャージとかのゼリーね。出だしたとき、CMで「今日は2時間まばたきしません」なんてのが流行(はや)ったけどね。最初から目を閉じてればいいんじゃないのって思ったけど、いいでしょう。
じゃあアルフォートは? 薬屋さんにもかかわらず、身体にいいとは真逆の「そんなのばっか食べて、夜ごはん食べられなくなるよ」と母親に怒られた、着色料や保存料とか、いらない添加物がたくさん入った・・・ま、いいっか。ありがたいじゃないか、安く提供してくれて。そんなこと言いだしたら、いろんなもの売っている店、いっぱいあるんだから、まったく、何の薬にもならない話ばっかね~。
僕はこれからもドラッグストアに行くよ。本当に薬が欲しくて店内を探してもなくて、諦めかけたころにレジの後ろに並べられてるのを発見するんだけど、あれ買いづらいよね。値段の高いやつが置いてあるんだよね。白衣を着た店員さんにわざわざ取ってもらったのに、「やっぱりいらないです」って言えないもんね。
冒頭の絵は、もうおわかりだよね。そう、アルフォートのビスケットって、なんかちょっとズレてるよねって絵です。裏返しにしたとき、ビシッとど真ん中に収まっていてほしいけど・・・ま、いいっか。
(文/つぶやきシロー)
【PROFILE】
つぶやきシロー ◎1971年3月10日、栃木県生まれ。お笑いタレントや俳優として活動するかたわら、2011年からは小説も執筆。2021年には、著書『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館刊)が安田顕主演で映画化された。2022年4月、新著『こんな人いるよねぇ~──本を読んでつぶやいた』(自由国民社刊)を上梓。また、2009年から公式Twitterでほぼ毎日「あるあるネタ」をつぶやき続けて大人気に。フォロワー数は99万1000人を超える。(2022年6月現在)
公式Twitter→@shiro_tsubuyaki