2022年11月から始まるミュージカル・ショー『SEVEN-シンドバッド7つの航海-』に出演されるダイアモンド☆ユカイさんインタビュー第2弾! 第1弾では、ロックバンド『RED WARRIORS』のボーカルとして絶大な人気を誇ったあと、解散後のソロ活動で味わった苦悩や、音楽だけでなくバラエティや舞台の世界にも活躍の場を広げていくまでのエピソードの数々をお話しいただきました(第1弾→ダイアモンド☆ユカイ、公務員への道から一転、ロックの世界に! “成り下がり時代”を振り返り「天狗だった」)。今回は、プライベートにおける悲喜こもごももじっくりお聞きしています!
“たんぽぽのような女性”と結婚。男性不妊を乗り越え、3人のパパになるまで
──お仕事も波乱に富んでいますが、プライベートもドラマチックですよね。以前にテレビ番組で、“たんぽぽのような女性”と再婚した話をされていましたが、’11年に、ご自身の不妊治療について明かした『タネナシ。』(講談社刊)を出版されるまで、いろいろな葛藤があったのでしょうか。
「それまではずっと、“バラのような女性”を求めて女優やモデルを自分のものにしているつもりだったのが、気がついたら翻弄されてボロボロになりました。なんせ、バラには棘(とげ)が生えているわけだから、さんざん痛い目にあってね(笑)。もう疲れたな、と思っていたときに、“たんぽぽのような女性”が現れたわけですよ。
今まで気づかなかったけど、バラのような女性だけが俺の恋愛対象じゃないんだ、“たんぽぽ、いいなぁ”って。それで付き合い始めたんです。俺は一度、離婚しているし、こんなヤツ結婚に向いてないかな、死ぬまで独り身でいいんじゃないか、と思いつつも、だんだんと“家族を持つ”というゴールがあるなら、結婚する意味もあるのではないかと考えが変わり出した。それは、“たんぽぽ”が家庭的だったからなんです。
“じゃ、結婚しよう”となって、いざ子どもを持とうとしたとき、妻の付き添いで検査に行って、自分も受けてみたんですが、ふたを開けてみたら、こっちが男性不妊。もう、“あじゃぱー!”って感じでした」
──思いもよらぬ事実が発覚してしまったのですね……。
「それからが、苦難の道です。2回の男性不妊治療を失敗して、そこで一度は諦めたんです。やっぱり過酷ですし、どうしても夫婦間がギクシャクしちゃうんですよ。でも、すったもんだしたあげく、妻が“最後にもう1回だけ挑戦したい”と。そうしたら女の子を授かったんです。俺は47歳のときでした。
散々やらかしてきた俺みたいなやつがパパになれるんだと、素直にうれしかった。カミさんに、“よかったな、ありがとう”って言いましたよ。
ところが、しばらくして落ち着いたころに妻が、“私たちは年をとっているから早く死んじゃう。娘が大きくなったら私たち、いなくなっちゃうから、きょうだいをつくってあげたい。もう1回挑戦しましょう”と言い出したんです。
何度も失敗しているし、どれだけ大変なのかを知っているから、最初は“とはいえ、そんな簡単にいくもんじゃないよ”って諭したのですが、結果、今度は双子の男の子ができちゃった。またまた“あじゃぱー!”。さすがに双子は想像していなかったから、人生ガラッと変わっちゃったね。
今、6人に1人が不妊治療で子どもを授かっているそうですが、自分も治療を続けるうちに、男性不妊の講演会で全国を回るようになったんです。『埼玉県こうのとり大使』を仰せつかって、高校などにも教えに行ったりしているんですよ」
双子の夜泣きには“二刀乳”で対応! 大好きなお酒を断ち、スイーツにハマる
──さらには、50歳を超えてイクメンに。笑って泣ける子育て奮闘記『育爺。』(講談社刊)を出版されたときも話題になりましたが、やはり生活が一変したようですね。
「女を口説くためのバラードは、気づけば子どもをあやすための子守歌に(笑)。老体にムチ打っての育児も、もちろん責任や大変なことはたくさんあるけれど、わりと楽しかったですよ。長女が赤ちゃんのころは、俺が夜泣き担当。ミュージシャンは夜が得意だから(笑)、曲を作りながら寝かしつけたりね。 3時間おきにミルクをあげて、ゲップを吐かせて、“あ、愉快だね”という感じだった。
ところが双子も生まれたとなると、また変わってくるんだよね。1人が泣き始めてミルクをやってると、もう1人が泣きだす。それで考えだしたのが、“二刀乳”。1人起きたらもう1人も起こして、2人の口に同時に哺乳瓶を突っ込んじゃう(笑)。なかなかうまくいきましたよ」
──ほかに、お子さんが生まれてから、ご自身の中で変化はありましたか?」
「子どもを授かったときに、“何か俺にできることはないかな”と考えたんです。そこでまずは、“そうだ、酒を断とう”と。浴びるほど飲んでいましたから(笑)。やめたら、スイーツに目覚めちゃって、スイーツ研究会を始めるほどハマってしまいました。特に今は、和風スイーツにハマっていて、あんこ、きなこは特別ですね。東京・四谷にある、行列ができるたい焼き屋『わかば』で、あんこだけ買って帰ることもあるくらい。こだわっているたい焼き屋さんは、あんこだけでも買えるところが多いんです。
今いちばんのオススメは、東京の都立大学駅にある『御菓子処ちもと』という、おしゃれな和菓子屋さん。基本的に健康オタクロッカーなので(笑)、よく食べるのは身体にやさしいスイーツオンリーですけどね」
子どもはロックにまるで興味なし!? 今回の舞台は「みんな楽しんで観られるはず」
──まさか、お酒から和菓子ラバーに転向されるとは。今ではお子さんたちも成長して、なかなかパパと遊んでくれない年ごろではないですか?
「娘は中2で、アーティスティックスイミングでオリンピックを目指して頑張っていて、小5の息子2人のうち1人はサッカー、1人は絵を描いたりと多彩。今のところ、誰もロックには興味がないですね。というか、うちではロックを聴いていると妻から、“イライラするからやめて”とクラシックに変えられる。家庭内ロック禁止だったんです(笑)。
それでも、車の中ではビートルズを聴かせていて、サッカーをやっている息子がゆっくり目覚め中ですかね。ピアノを習っているので、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』を弾いていますよ。ママに聴かせたら、あんなにロックは嫌いって言っていたのに、うれしくて泣いてるの(笑)。
自分が舞台に出ているときには、“見にきたら”と誘ってみるんですけど、ロックな親父にはまるで興味がないみたいで、このあいだもディナーショーに呼んだのに全然、見ていない。おいしいものがあるから来ただけで、楽屋でずっと食べているだけでした(笑)」
──ディナーショーはかなり盛りだくさんの内容だったようですが……。
「今年の8月で、“男が泣ける男の歌”がコンセプトのカバーアルバム『Respect』シリーズ発売から10周年、そして’18年から毎年開催している『東京アメリカンクラブ』でのディナーショー開催5年目。今回のディナーショーでは、この2つのアニバーサリーを記念して、リスペクトするアーティストの楽曲たちを、吉田建さん率いる『オーケストラ・ア・ゴーゴー』の演奏をバックに、スペシャルゲスト・上田正樹さんを迎えて行いました。もちろん俺が歌い続けている『君はともだち』や、レッドウォーリアーズの歌も’80年代を代表する大ヒット曲のカバーを盛り込んで、盛大に還暦ライブを演(や)りました。
でも、今回の舞台『SEVEN-シンドバッド7つの航海-』は、みんなが楽しんで観られるはず。船乗りシンドバッドといえば、誰もが知っている物語。“みんなと一緒に夢を求めて冒険する”というテーマはわくわくしますし、セリフは少なめで、歌がメインのミュージカル・ショーなんですよね。ギターの弾き語りもあるし、演出の三木章雄先生がバラエティーに富んだ歌を選んでくれて、俺自身が大好きな曲が何曲もある。自分の個性が生かせる舞台になりそうですし、どんな世代の人たちにも夢中になっていただける作品になっていると思います」
(取材・文/Miki D’Angelo Yamashita)
【PROFILE】
ダイアモンド☆ユカイ ◎ロックミュージシャン、俳優。1962年3月12日、東京生まれ埼玉育ち。’86年、伝説のロックバンド『RED WARRIORS』のボーカルとしてメジャーデビュー。人気絶頂期の’89年、わずか3年の活動で日本武道館公演を最後に解散。その後、「ダイアモンド☆ユカイ」としてソロ活動を開始。現在は音楽活動を中心に舞台・映画・バラエティ番組に出演するなど、幅広く活動中。私生活では’10年に47歳にして初めてパパになり、現在は1女2男の父。歴史やスイーツが好き。
ミュージカル・ショー『SEVEN-シンドバッド7つの航海-』
◎作・演出:三木章雄(宝塚歌劇団)
◎出演:中村嶺亜(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)/黒田光輝(少年忍者/ジャニーズJr.)/彩輝なお/彩乃かなみ/蘭乃はな/竹廣隼人/ダイアモンド☆ユカイ
【東京公演】2022年11月3日(木)~11月19日(土)@品川プリンスホテル クラブeX
【大阪公演】2022年11月26日(土)~11月27日(日)@森ノ宮ピロティホール
※公演詳細やチケット情報は公式HPへ→https://seven.sindibaad.jp/